本書は序文から思わずぎくりとするようなことが書かれている。いわく「いまの時代は安定しているように思えるが、現在の状況がひっくり返らないという保証はない……パンデミックは簡単に起こりうる」。さらに「核戦争も起こりうるし、環境災害が待ち構えているかもしれない」と続く。 これは歴史の本ではあるが、オーソドックスな歴史書ではない。著者が目を向けているのは、何らかの形の文明の終焉、終末である。とりあげられている時代は青銅器時代(紀元前1200年ごろに終焉)、古代アッシリア(紀元前612年に首都ニネヴェ陥落)、ローマ帝国(西ローマ帝国はゲルマン人の攻撃で486年に消滅)、そして1000年以上飛んで、二つの世界大戦を経て突入した核の時代。印象としては、歴史オタクが自分の好きな時代のことを好きなように語っているという感じなのだ。内容もかなりマニアックな部分がある。 それは著者ダン・カーリンが、歴史学者や歴