8月8日、モスクワ郊外のノヴォ・オガリョヴォ公邸でクルスク地方知事代行アレクセイ・スミルノフとビデオ会議を行うプーチン大統領(写真:Sputnik/共同通信イメージズ) 拡大画像表示
8月8日、モスクワ郊外のノヴォ・オガリョヴォ公邸でクルスク地方知事代行アレクセイ・スミルノフとビデオ会議を行うプーチン大統領(写真:Sputnik/共同通信イメージズ) 拡大画像表示
台湾を「不可分の領土」とする中国が軍事侵攻によって台湾統一を図る「台湾有事」。発生すれば日本も無傷ではいられない。具体的にどれほどのインパクトがあるのか。地経学分野の言論・研究プラットフォーム「実業之日本フォーラム」は、台湾有事を引き起こす力学を米中対立構造から考察しつつ、軍事衝突が日本経済にどのような影響を及ぼすかについて調査して報告書にまとめた。 その結果、ワーストシナリオでは、日本のGDPが15%減少すると試算された。2回にわたりその概要を解説する。 習近平政権による現状変更の必然性が高まる理由 2024年1月に行われた台湾総統選では、中国がかねて「分離主義者」と非難する与党・民進党の頼清徳副総統が当選した。注目を集めたのは票差だ。僅差と読まれていたが、国民党候補・侯友宜氏は80万票という大差で敗れた。 直前の世論調査から地滑り的に民進党が得票を増したのは、投開票の5日前の8日、国民
中国で三中全会が終わり、7月21日に三中全会で採択した決議文「改革をいっそう全面的に深化させ、中国式現代化を推進することに関する中共中央の決定」が発表された。これは18日に発表されたコミュニケの元になるもので、習近平が第3期目にどのような政策をとるか比較的細かく示されてある。 全文を読んだが、全く救いのない、あまりにひどい内容だった。それは単に私の感想だけではなく、中国A株の反応などをみてもうかがえる。 (福島 香織:ジャーナリスト) 前回の原稿でも触れたように、この三中全会決議は改革開放終了宣言だ。あるいは一種の「中国経済死刑宣告」である。 これからは、国有資本と国有企業をより優位に、より強くし、政府の市場コントロールを強化し、民営企業と人民から税金を搾り取る。「生かさぬように殺さぬように」と訳してしまいたくなる「放得活、管得住」という表現に、党の考えが反映されているように思う。 経済を
蓮舫さんの経歴は、抜群です。旧民主党政権では国務大臣を務め、旧民進党代表(途中で投げ出しちゃったけど)も歴任するという輝かしい経歴を持ち、状況が許せば日本憲政史初の女性総理大臣にも就任するかもってぐらいの、野党の切り札的存在。 そんな抜群の知名度を持つ大物の蓮舫さんを都知事選に担ぎだしたところまでは良かったんですけれども……。蓋を開けてみたら、俺たちの女帝・小池百合子さん相手に大惨敗してしまったのは皆さん記憶に新しいところかと思います。 立憲民主党や日本共産党など野党陣営からしますと、いくらエース級の蓮舫さんとはいえ、現職都知事に勝ち切るのは当初から難しいと判断していたようです。せめて、2020年の都知事選で担ぎ出していれば、まだ勝算はあったんじゃないですかねえ……。 東京都下の衆院選に鞍替えする布石として、都市部で人気が急落している自民党へのダメージと、衆院選顔見世の一環として蓮舫さんが
ロシア軍は2022年2月24日、地上軍の侵攻と同時に空軍戦闘機でウクライナ軍の防空兵器を攻撃、破壊した。 ウクライナの移動可能な防空兵器は、事前にその場を離れて破壊を逃れたが、固定の防空レーダーはミサイル攻撃を受け、破壊され燃えた。 このことは、ウクライナの人々にとって極めて衝撃的なものであっただろう。私もその映像を克明に記憶している。 今では、それが逆転しつつある。 ウクライナは、大規模ではないが、ロシア国内の重要施設を突き刺すように攻撃しているのである。 ウクライナは現在、クリミア半島へは主にATACMS(Army Tactical Missile System=陸軍戦術ミサイルシステム、エイタクムス)で、ロシア領土へは比較的大型の自爆型無人機で攻撃している。 その攻撃目標は、弾薬・武器・燃料保管施設、石油輸出拠点、早期監視レーダー、衛星管制施設である。 早期監視レーダー、衛星管制施設
工場で稼働しているキヤノンのKrF半導体露光装置「FPA-6300ES6a」(資料写真、キヤノンのニュースリリースより) (湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長) 「装置の帝王」の転落劇 まだ日本半導体産業が競争力を持っていた1995年に、露光装置の出荷額シェアでニコンは48.9%、キヤノンは28.7%を占めており、合計すると日本は77.6%のシェアを独占していた。そして、この当時、露光装置でシェア1位だったニコンは、「装置の帝王」と呼ばれていた(図1)。 【本記事は多数の図版を掲載しています。配信先で図版が表示されていない場合はJBpressのサイト(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81810)にてご覧ください。】 ところが、1995年にシェア15.9%だったオランダのASMLが、その後、急速にシェアを向上させ、2002年にニ
赤字ローカル線に未来はないのか――? 人口減・東京一極集中がとどまらぬ中、全国の地方でローカル線の廃線危機が叫ばれている。経済合理性の名のもとに「廃線やむなし」の決断が下されるケースが、今後相次ぐこともありそうだ。一方で世界では、そもそもローカル線は「儲かるわけない」が“常識”なのだという。儲からないローカル線は、いったいどのように運行されているのか。赤字でも「廃止論」が巻き起こらないのはなぜか。路面電車やバスが充実したオーストリアの首都・ウィーンを拠点に研究を続ける柴山多佳児氏が、公共交通の“世界基準”をシリーズで解説する。(JBpress) (柴山多佳児:ウィーン工科大学交通研究所 上席研究員) 5分歩けば駅がある 筆者は交通計画、そのなかでも特に公共交通計画・政策を専門として、ヨーロッパ中部に位置するオーストリアの首都ウィーンの工科大学に勤務している。 ウィーン工科大学は1815年創
※この原稿には、サウナに対する罵詈雑言や「馬鹿」という言葉がたくさん出てきます。そういうのがお嫌いな方はご遠慮ください。 (山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 年初来、半年も過ぎてないのに、サウナが理由で友人や取引先さんが病院搬送されるという痛ましい事件が立て続けに3件も起きました。サウナ好きなのは構わないけど、変な入り方をすると死ぬからやめろよと思うんですよね。 共通してるのは、みんないい歳したおっさんであるということです。中年にもなって、酒飲んでサウナでととのってんじゃねえよ。 しかも、運ばれた三者三様、みんな別々の理由で運ばれてるんですよね。一人が王道の倒れ方、サウナからあがってシャワーで汗を流した後、ふらついて倒れて頭を打って救急搬送。 長時間入り過ぎなんだよ、サウナに。しかも、軽く酒を飲んでいたと。馬鹿なんでしょうか。物事には程度ってものがあんだろ。具合悪
GDPで日本を抜き世界3位の経済大国になったドイツだが、景気低迷の中でリストラの嵐が吹き荒れている。 もっとも、景気の低迷以上にドイツの経済界が恐れているのは人手不足による供給制約。今後、景気が回復してもその拡大に対応できるかどうかは疑わしい。 「インダストリー4.0」というかけ声の下、投資を強化してきたはずのドイツでさえこの状況。少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する日本に必要なのは、需要の刺激ではなく雇用の流動化や賃金の弾力化といった供給サイドの改革だ。 (土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員) 2023年、ドイツは米ドル建ての名目国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界3位の経済大国となった。そのドイツの2024年の失業者数は、過去10年で最も多くなるようだ。 ドイツで最も実績を持つ経済研究所の一つであるケルン経済研究所(IW)は4月26日、2024年の失業者が
(国際ジャーナリスト・木村正人) 「成長率が高まれば誰もが恩恵を受ける約束だった」 [ロンドン発]米国を代表する経済学者でノーベル経済学賞受賞者、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授が5月2日、ロンドンの外国人特派員協会(FPA)で質疑に応じ、マーガレット・サッチャー英首相とロナルド・レーガン米大統領の新自由主義は失敗したと断罪した。 「サッチャー、レーガン以来、40年間続けてきた新自由主義の実験は失敗し、人々はその本質と大きさを理解し始めている。成長率が高まり、トリクルダウン経済学と呼ばれる神秘的なプロセスを経て成長率が高まれば誰もが恩恵を受ける約束だった」とスティグリッツ氏は振り返る。 しかし実際には米国の経済成長は著しく鈍化した。中間層の賃金は低迷し、下層部ではさらに悪化して実質賃金は60~65年前と同じ水準に落ち込んだ。アマゾンのジェフ・ベゾス氏やテスラのイーロン・マスク氏
高校普通科在籍率:東京88.6%、宮崎45.4% 現在でも大学進学を望む人が進学しているのだから「地域格差は個人の“自由”な選択の結果」という意見もあるかもしれない。しかし、どのような選択肢が18歳にとって現実的かどうかは制度的に制約されている実態がある。 特に義務教育ではない高校教育は制度的な格差が明確だ。最も分かりやすいのは、学科の区分だろう。 普通科と職業学科ではカリキュラム、進路指導、先輩の進路、同級生のSESや大学進学意欲、学校外教育利用率など様々な違いがあり、都道府県によって学科の比率はかなり異なる。 2023年の高校3年生でみると、最も普通科在籍率が高いのは東京都で88.6%、47都道府県で最も低いのは宮崎県の45.4%だ。
東大含む(いわゆる)旧帝大合格者のうち、東京圏出身者の割合が近年顕著に増えている――。3日付の毎日新聞朝刊が、長年『サンデー毎日』が収集してきたデータをもとに、こんな分析結果を報じた。本人が選択しえない「生まれ」による教育格差は、いまどんな状況にあるのか。出身地域の多様性が下がったキャンパスは、学生たちにどんな影響を与えるのか。『教育格差』(ちくま新書)の著書がある龍谷大学社会学部の松岡亮二・准教授が、3回にわたり、毎日新聞が報じたデータを独自分析した上で詳しく解説する。 #3/全3回 <前編>東大合格、増える東京圏出身者 北大・東北大では地元合格を押し下げ…進む「地域格差」は社会に何をもたらすか <中編>親非大卒枠、地方出身枠、女子枠…大学入試のアファーマティブ・アクション、拡充でも公平性達成は程遠いワケ ◎毎日新聞特集ページ「受験格差」 (松岡 亮二:龍谷大学社会学部 准教授) 都道府
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 国会では、旧統一教会の関連団体から選挙支援を受けていたとされる盛山文部科学大臣への不信任決議案ですったもんだする一方、文化庁がついに財産監視の強化対象となる宗教法人の基準策定まで漕ぎ着けました。 関係者の皆さま、大変にお疲れ様でございました。登山で言えば8合目までやってきた感じでしょうか。 なお、本件基準の名前は「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定に関する運用の基準」です。クソ長い。 【関連資料】 ◎特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特
(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長) 2月24日にTSMC熊本工場が開所式 2021年10月に発表されたTSMC熊本工場の開所式が今年2024年2月24日に行われる(日本経済新聞、2023年12月11日)。この工場では今年末までに、12インチのシリコンウエハで月産5.5万枚の規模で、28/22~16/12nmのロジック半導体が生産されることになっている。総工費は86億ドルで、その約半分の4760億円を日本が補助金として支出する。 また、前掲の日経新聞には、6nmの先端半導体を生産する第2工場が計画されていることも記載されている。この第2工場は、今年4月に建設着工し、来年2025年に建屋が完成、翌2026年末までに生産が開始される見通しである。そして、日本からは7500億~9000億円もの補助金が支出されると報道されている。ということは、TSMC熊本工場には、合計で1.
地震発生20分後に発進した千歳基地の「F-15戦闘機」 2024年元日に発生した石川県能登半島北端を震源とする「令和6年能登半島地震」(マグニチュード7.6、最大震度7)。大規模な火災や津波も発生し、死者220人以上など能登地方を中心に甚大な被害を及ぼした。 今回の震災は、日本海に突き出し三方を海に囲まれた細長い半島が舞台という点が特徴で、ここ数十年の間に国内で発生した他の大地震と趣を異にする。しかも、半島北部、輪島市の有名な棚田群「千枚田」が物語るように、山が海まで迫り平地が極端に少ない。 半島部と外部とをつなぐ陸路は、数本の主要道と単線の鉄道(第3セクター「のと鉄道」)1本だけとごく限られ、どちらも破壊・寸断された。このため半島の中・北部の大半が長期間孤立し、電気・ガス・水道もダウンした。 能登空港も大きく損壊(10日後に仮復旧)し、「頼みの綱」であるはずの船舶輸送も困難を極めた。国内
私たちが日常生活を営む上で不可欠な仕事に従事する人たち=エッセンシャルワーカーが、コロナ禍で大きな注目を集めた。 その多くは報酬が低く、劣悪な労働環境にある。一方、コンサルティングなど「特になくてもかまわないが報酬の高い」仕事もある。いわゆる「ブルシット・ジョブ=クソどうでもいい仕事」だ。 この不均衡を是正するにはどうしたらよいのか。筑波大学人文社会系教授の田中洋子氏が上梓した『エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(旬報社)から一部抜粋する。 >>後編:ドイツのマクドナルドには正規/非正規雇用の区別なし、全員が「正社員」待遇 これまでもスーパーマーケットの従業員やトラックの運転手は、毎日当たり前のように社会を支えてきたが、その仕事の重要性が社会に明確に意識されることはほとんどなかった。2020年の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大への緊急対策として社会
安倍元首相の死去後、噴き出した安倍派の政治資金パーティーを巡る問題。不記載となった資金の使途や業界団体が派閥のパーティー券を買う意図など、さまざまな論点が噴出している。 過去の例を見ると、仮に問題となっている議員が不起訴処分に終わっても、検察審査会での審議を経て略式起訴、公民権停止にいたる可能性は高い。 解散総選挙を唱える向きもあるが、自民党議員の何人が公民権停止になるか分からない現状、仮に総選挙があるとしても、少なくとも辞任した議員の衆参補選がある4月28日以降になるのではないか。 (山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 11月下旬以降、自民党の最大派閥、安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題が拡大しており、安倍派の党四役や閣僚などの総辞任まで取り沙汰されるようになりました。 派閥でのパーティーを開くにあたって所属議員さんに割り当てられたパーティー券の売り上げノルマ
プロローグ/ロシアは「戦争経済」に突入 ロシア(露)では9月1日の新学期から国定歴史教科書が採用され、露V.プーチン大統領の歪んだ歴史観が学校で教えられることになりました。 日本流に言えば、「紀元は2600年」の歴史観と言えましょうか。 ロシア経済は「油上の楼閣」です。油価が上がると「油上の楼閣経済」は強固となり、油価が下がると弱体化します。 ただし、この場合の油価とは、ロシアの主要油種「ウラル原油」(中質・サワー原油)です。 2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻作戦発動後、欧米メジャーや欧米石油サービス企業はロシア市場から順次撤退。現在ロシア市場に残っているメジャーは仏トタール社のみです。 筆者は昨年、欧米メジャーがロシア市場から撤退したことを受け、「ロシアでは今後、原油・天然ガス生産量低下は不可避」と断じました。 気象条件の厳しい海洋鉱区や大掘削深度を必要とする鉱区におい
愛猫家たちの期待を一身に背負う一般社団法人AIM医学研究所の宮崎徹所長が8月23日、X(旧Twitter)にこうポストした。 「皆様の応援に支えられて研究所(IAM)を立ち上げ、治験薬の完成と効果の確認が完了し、いよいよ治験と認可申請を主導して、猫薬を世に出す会社IAM CATを昨日8/22に発足させました。製剤と治験コーディネートのプロとタッグを組んで一気に走り抜けます!」 いよいよ治療薬の誕生が近いということだろうか。さっそく宮崎所長を取材した。 (参考記事) ・ネコ待望の腎臓治療薬、鍵握るタンパク質AIMの「スゴい機能」 ・“ネコの宿命”腎臓病研究の宮崎徹教授が手がけた「予防」のための猫フード ・ネコ腎臓病薬治療の宮崎徹教授、自ら研究所を立ち上げた理由 ネコは「生まれた瞬間から腎不全が進行する」という飼い主の意識改革 ――宮崎先生は、東京大学大学院でネコに腎不全が多発する原因を究明し
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