IDとパスワードは,最も基本的でかつ有効な本人確認の方法である。その安全性を高めるには,パスワード・ポリシーをできるだけ厳しくすべきと考える人がいるが,大きな誤解である。 「英字の大文字/小文字,数字の組み合わせが必要で,最後が数字で終わってはいけない」「パスワードは毎月変更する必要があり,過去5世代のパスワードは再利用できない」といったポリシーを設定している例を耳にする。こうした複雑なポリシーを設定すると,パスワードが漏えいするリスクよりも,付せん紙にメモされてしまうリスクの方が高くなりやすい。 パスワード認証を用いる場合に考慮・検討すべき機能項目を表にまとめた。注意が必要なのは,どの項目もやみくもに厳しくしてはいけないということである。ポイントは大きく二つある。(1)利用を強制する文字種類の数を安易に増やしてはいけないことと,(2)パスワードの定期変更を安易に迫っていけないことだ。