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ブックマーク / www.keystoneforest.net (73)

  • 三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 4/6 - 森の奥へ

    連載4回目です。 小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします(^_^) www.keystoneforest.net * 囁くような小さな音が聞こえます。白い靄のようなものが辺りに立ち込めています。その中に私の身体は浮かんでいます。……フロイトですか? 性的な不満からだっておっしゃりたいのでしょう? いえいえ、そういう話は、ご勘弁ください……。 私はそこでもまだ息苦しさを感じています。力一杯息を吸い込んでも、肺はほんのわずかしか膨らんでくれないようです。胸に手を当てます。そこにはぽっかりと大きな穴が空いていました。こんなはずがない。今、私は夢を見ている、そう自覚します。その一方で、息苦しいのは空気が薄いせいだ。高く飛びすぎたらしい。高度を下げなければ、と焦ってもいます。 ふと見ると、『瓜』が傍にいて、私の手を引いてくれています。そのまま

    三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 4/6 - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/05/06
    完結してから読もうと待ってましたが待ちきれず読んじゃいました。全くの想定外な展開で余計気になってしまったというドツボですね。とか思っちゃった記事。
  • 第一の人生の終わり方 - 森の奥へ

    同じ朝、同じ昼、同じ夜。 仕事を終えて帰宅して、何はともあれ、まずお風呂。 夜はのんびりべて飲む。 家族みんなが揃うのは夕飯の時くらい。 少し話して、少し聞く。 子供らは数回ご飯をお代わりし、それでもすぐにべ終わり、部屋へ戻って誰かとゲーム。 わたし一人べ終えずに飲んでいる。 家族と一緒にべて飲む、話して聞くのが生きること。 そのために働いた。 楽しい仕事の日だけじゃない。 あれこれ気持ちを塞ぐ日も、腰や肩が重い日も、なかったと言えば噓になる。 話して聞いてべて飲んで、それですっかり忘れてしまう。 忘れてしまって酔っ払う。 酔っ払ったら眠くなり、布団をかぶってふと思う。 今日という日の延長に必ず明日が来るのだろうか。 今日と明日とが違うのは、存在するのかしないのか。 存在するのは今、一瞬。 その先を信じて今日まで生きてきた。 これからもそれでいい? 当に必ず明日は訪れる? 春と

    第一の人生の終わり方 - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/05/03
    僕はその風を切って歩くのか、乗って進むのか、どうしたらいいですかね?(え? なんて問いかけたくなっちゃうくらい引き込まれた記事。ですね。
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記)後記 5/5 - 森の奥へ

    * 『震災通信』の連載中につぶやいたこと、思ったこと。Twitterから引用します。 2021年1月18日、この日の朝も冷えました。 寒いけど朝焼けはきれいです。寒くなればなるほど美しくなります。 駅までの尾根筋を下る通勤の途中、欠かさずこの場所から東の空を望みます。正面は大阪、その奥が生駒山地、中央右に大阪湾が見えます。 朝陽が美しい日は必ず写真に残します。 この場所からの見晴らしが良いのは、実は、あの震災後ここに建っていたマンションが取り壊され、いまだに更地のままでいるからです。 あの日から26年経ちました。 今朝も冷えます。 寒いけど朝焼けはきれいです。 寒いからこそ美しいのかも? pic.twitter.com/EVy0JMCwqe— 山🐾 (@keystoneforest) 2021年1月17日 1月の満月はWolf Moon(狼月)と呼ぶそうです。 1月15日、あの日の夜は

    震災通信(阪神淡路大震災体験記)後記 5/5 - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/03/14
    お子様はどえらいモノをもらってしまいましたね。伝えるしかないですもんね。
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記)後記 3/5 - 森の奥へ

    * 白米一キログラム、米麹五〇〇グラム、ドライイースト小さじ半分くらい。 これらの材料から、「おいしい甘酒」約三リットルを作ります。蒸したお米に麹とドライイーストを混ぜて水を二リットル強加え、二日くらい置くと甘酒状になります。さらに寝かせると一週間ほどで「意に反してアルコール度が15%以上になり、たいへんおいしいどぶろくが出来てしまうかもしれません。すぐに廃棄しなくてはいけません。おなかの中に廃棄してもいけません。大切なことですので絶対に注意してくださいね」。 これは濁酒さんのHPからの引用です。廃棄しないといけない理由は、「アルコール度が1%を越えると酒税法違反」になるからです。ちなみに、生イーストを使うと、大変辛口の「おいしい甘酒」に仕上がるとのこと。 もし、あの大震災に遭わなかったら……、十年前に交わしていた濁酒さんとのメールのやりとりはその後も平和裡に続けられ、そのうち僕は「おいし

    震災通信(阪神淡路大震災体験記)後記 3/5 - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/03/11
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***25日目(2月10日)*** (柏井ビル倒壊の経緯) - 森の奥へ

    26年前、わたしは神戸市兵庫区で震度7の揺れを経験しました。その記憶を日記とパソコン通信のログとで振り返っています。あの日から25日目です。柏井ビル倒壊の経緯をたどりました。 2月10日(金) 昨日から母が帰宅していた。二人で朝をとる。浴槽にためていたトイレ用の水が洗濯にほとんど使われてしまっていた。トイレが使えない。少し口論になる。 朝後、母は銀行へ住宅ローンの返済方法について訊きにいく。一年間ローンの支払いを停止してもらっても、結局利子分の約6万円は支払わなければならないとのこと、わざわざ銀行の担当の人が電話で説明してくださったが、結局返済方法は変更しないことにする。 濯ぎが残っている洗濯物の山を母の友人宅まで車で運ぶ。 一日休んだだけで、今日からまた次の仕事に出かける母を三宮(※中央区)まで送る。全壊した阪急三宮駅は半分取り崩されていた。阪急会館のスクリーンが外からのぞけた。母が

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***25日目(2月10日)*** (柏井ビル倒壊の経緯) - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/02/10
    阪神大震災を経験した知人が言っていた一番困ったのはトイレという言葉を思い出した。経験はしたくないなと強く思う。
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***23日目(2月8日)*** - 森の奥へ

    26年前、わたしは神戸市兵庫区で震度7の揺れを経験しました。その記憶を日記とパソコン通信のログとで振り返っています。あの日から23目です。 2月8日(水) きのうは遅くまで『菜の花の沖』(※司馬遼太郎)を読んでいて、今朝も目が覚めてからすぐに続きを読み始めた。そのせいで布団から出たのは9時半を過ぎていた。 午前中に南蛮美術館へ行く約束だったので、朝をとらずに出かける。10時に車で出発。三宮を越えるのにやはり時間がかかった。約40分後、新神戸OPA(※中央区、新神戸オリエンタルシティ)前を通る。ふいに、そこにある書店でを見てみたくなり、車をパーキングへ入れる。ついでに久しぶりに銀行へ立ち寄り、3万円引き出す。 書店は営業していたが、見たかったはなかった。職場に向かう。2週間ぶりだ。 とりあえず近況報告を済ませ、K芝先生と昼に外出する。K芝先生は、今日はそのために弁当なしにしていたよう

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***23日目(2月8日)*** - 森の奥へ
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***19日目(2月4日)*** - 森の奥へ

    26年前、わたしは神戸市兵庫区で震度7の揺れを経験しました。その記憶を日記とパソコン通信のログとで振り返っています。あの日から19日目です。郵便届く。 2月4日(土) きのうは泊まらずに済んだので、今日は朝から休み。 昼頃、ドアを開けると、ポチが我が物顔に入って来る。ポチはしばらく前から近所を縄張りにしているらしい野良(たぶん)。丸々太っていて、愛想がいい。名前は僕が勝手に付けた。 昼用に焼いていたイワシの干物をやる。僕はその横で遅い昼をとった。 夕方近く、弟からお風呂においでの電話がかかる。 20時過ぎに家を出る。でがけにポストを見るとM代(※前任校での教え子)から手紙が来ていた。 久しぶりに国道2号線を走る。緊急車両専用らしき車線を前の車に続いて入って行くと、なんとなく走れてしまった。お風呂を借りて、少し雑談。粕汁をごちそうになる。 22時半頃玉津(※西区、弟の自宅近く)を出て、

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***19日目(2月4日)*** - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/02/04
    なんてことのない内容だが、そもそもの状況がある分、えぐいリアルを感じる記事。ですね。
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***9日目(1月25日)*** - 森の奥へ

    26年前、わたしは神戸市兵庫区で震度7の揺れを経験しました。その記憶を日記とパソコン通信のログとで振り返っています。あの日から9日目です。この日から兵庫区役所への応援出務となりました。 1月25日(水) 日より兵庫区役所に出務。家から歩いて5分だ。9時区役所に集合。地震後の交通手段が寸断された中で、歩いて通勤できるこの環境は恵まれすぎ、というしかない。 南蛮美術館(※中央区、来の勤務地)は市の総務局(※仮称です)の一部署なので、僕も身分上はその所属になっている。その総務局から兵庫区役所に派遣された応援職員は、(N芝、Y田、M上、わたし)チームと、(Y村、T井、T田、D東)チームの二班に分かれる。この二班で24時間交替。係長のN芝さん以外は二十代から三十前後くらいか。他のメンバーはみんな庁(※市役所)の職員なので、面識のある人はいない(※わたしの勤務地・南蛮美術館は庁からの出先機関で

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***9日目(1月25日)*** - 森の奥へ
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***4日目(1月20日)*** - 森の奥へ

    1月20日(金) 昼頃、母が自転車で帰ってくる(※病院から、約8.5㎞)。夕には、たまたま地震の前に大量に冷凍しておいていた豚肉を、傷んでしまう前にまとめてカセットコンロで焼いてべるつもりでいた。器は散乱したものの中から割れてないものを拾い集め、埃や破片を拭って使っている。準備をしている時に、急に照明が点く。電気が復旧した。地震から四日目だ(※ガスと水道の復旧はまだでした)。 後、さっそくパソコンを起動させてみる。今まで通りに起動、異常なし。しかし、パソコン通信は繋がらない。 ライフラインの復旧(兵庫県のホームページより) 兵庫県/阪神・淡路大震災の支援・復旧状況 サンキタ通り(神戸市中央区) よければtwitterものぞいてみてくださいね。山 (@keystoneforest) | Twitter イラスト/バリピル宇宙さん (id:uchu5213)

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***4日目(1月20日)*** - 森の奥へ
  • 震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***その日*** - 森の奥へ

    長男Mと次男Kへ。 この街をあの大地震が襲った日、長男Mも次男Kもまだ生まれてはいなかった。それどころか、私はまだ君たちの母親となる女性と出会ってさえいなかった。彼女と知り合うのは地震の翌年の春のことだ。 震災の記憶は今も鮮明に脳裏に焼き付いている…… と、調子よく話し始めたいところだが、私は当に物覚えがよくなくて。あの日のことも、あの日に続いて私の周辺で起こった様々な出来事も、断片的にしか覚えていない。 先日(※16年前のことです)、古いパソコン(※NECの98シリーズです、、、)をいじっていると、ハードディスクの中に、震災の直前に始めたばかりだったパソコン通信のログ(通信記録)と、震災後しばらくつけていた日記のデータを見つけることができた。読み返してみると、十年も経たない今でさえ、もはや意味の汲み取れない記述がいくつもあった。放っておくと、この先どんどん忘れていく一方に違いない。だか

    震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***その日*** - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2021/01/18
    貴重な記事。コロナも同じように助け合えないのか余計感じた記事。
  • 幸せの定員 (創作小説)  ***-2.5*** 幸せって「ポンと生まれたシャボン玉」かも知れへんな - 森の奥へ

    幸せの定員(創作小説) ***-2.5*** 幸せってなんだっけなんだっけ♪ 1986年CM キッコーマン ぽん酢しょうゆ 明石家さんま ぽん酢しょうゆのある家さ♪ ぽん酢しょうゆはキッコーマン♪ ぽん酢しょうゆはキッコーマンキッコーマン♪ と続きます。 30年以上前のCMです。 しあわせって何だっけ 歌:明石家さんま 作詞:関口 菊日出 作曲:高橋 千佳子 幸せってなんやろ?って考え始めて、頭の中に浮かんできたのはさんまさんの歌声でした。 幸せってなんだっけなんだっけ♪ その日以来、このフレーズが耳について離れません(^^; 正規バージョン(関口菊日出・作詞)でさんまさんが歌っている幸せは、「ポンと生まれたシャボン玉」だったり「白いドレスとハネムーン」だったり「当たるつもりの万馬券」だったり。 「無理はするなと言うあなた」や「麻布 青山 六木」も幸せ。 そして、「にぎりしめてる子どもの

    幸せの定員 (創作小説)  ***-2.5*** 幸せって「ポンと生まれたシャボン玉」かも知れへんな - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2020/12/01
    ハイキュー!!で釣られました(笑)生きる幸せにつながると僕は思います。とか。
  • ブロガーバトン繋ぎます - 森の奥へ

    6月20日、たよらこ (id:tayorako)さんからブロガーバトンを受け取りました。 たよらこさんは、花咲き誇るお庭のことやお料理のこと、子育てや教育のことなどを話題にした複数のブログを運営されていらっしゃいます。 ときどき書かれるブログ作成やメンテナンスについての記事もとっても参考になります。 息子さんとわたしの次男Kが同じ高3生で、新型コロナ禍の受験生を巡る悶々とした思いをTwitterでやりとりさせていただいたこともありました。 ブロガーバトンをわたし•山🐾に繋いでくださった記事が ↓ です。 tayorako.hateblo.jp ところで、ブロガーバトンって何? バトンと言えば、繋ぐ。 バトンを繋ぐと言えば、リレー。 リレーと言えば、運動会で一番出たくない種目、でした。 この運動会体育会のバトンのことをまず思いました。 と言うか、ほかに浮かんできません(^_^; 自分のミ

    ブロガーバトン繋ぎます - 森の奥へ
    odanoura
    odanoura 2020/07/02
    本当にどこまで続くのか楽しみですね。
  • 夏のタイムマシーン (創作短編小説) - 森の奥へ

    夏のタイムマシーン by 摩耶摩山 夏のある日、私は小さなカバンを一つ持って旅にでた。 ふらりと乗り込んだ電車は郊外の住宅地を抜け、いつの間にか海沿いを走っていた。 四人がけのボックス席は私と私のカバンが占領している。 カバンにはいつものコスメポーチと着替えが一組入っているだけだった。 必要なものがあれば旅先で買えばいい。 どこへ行こうか、何泊しようか、何も考えずに家を出てきた。 車窓に照りつける日差しはノースリーブの腕を痛いほど鋭く刺す。 それに構わずブラインドを開けたまま、私は外を眺めていた。 線路に沿って、細く長く砂浜が続いている。 海辺の砂が眩しく輝いている。 波に乱反射した陽の欠片が私の目を眩ませる。 風に飛ばされて持ち主とはぐれたビーチボールが、打ち寄せる白い波に漂っている。 頼りなげにゆらゆらと揺れている。 浮き輪の少女は両手を羽ばたくように激しく上下させて水飛沫をあげてい

    夏のタイムマシーン (創作短編小説) - 森の奥へ