水俣病の原因企業・チッソ(東京都)の後藤舜吉会長が退任することが12日、明らかになった。後藤氏は顧問などの名誉職に就任する方向。1993年から同社社長、03年から会長を務めた。退任するのは、水俣病被害者の救済策の一環である同社の分社化にめどがたったためとみられる。 2009年7月に成立した水俣病被害者救済法に基づき、チッソは今年1月に子会社「JNC」(東京都)を設立、3月に本社の液晶生産などの営利事業を譲渡。チッソ本社は当面、JNC株の配当金を受けて被害者補償や公的債務返済に特化する。 水俣病被害者への多額な補償費用は、環境相の承認を得た上でJNC株を売却し、得られる利益を充てる予定だ。後藤氏は、この分社化を長年にわたって政府などに働きかけてきた。 分社化したことで、株式売却後に将来の補償費用などが十分に確保できたとみなされれば、営利事業がないチッソ本体が清算される可能性がある。被害