ピューリッツァー賞を受賞した傑作。 だからなのか、どいつもこいつも誉めまくり。毒舌で鳴らしてる豊崎由美氏をして「問題作にして傑作」とまで言わしめているのだから。もちろんわたしも誉めますが何か? カタストロフ後の世界を旅する、父と子の物語。劫掠と喰人が日常化した生き残りを避けて、南へ南へ――食べ物を求めて? 食べられないように? 残った弾丸の数を数えながら、こんな地獄ならいっそ―― わたしと同じことを、この「父」も考える。 終末世界で人として生きるのは、かなり難しい。 地の文から句読点を外し、会話をくくるかっこ「 」を廃した、全編独白のような文体は、慣れるのに苦労するかも。その代わり、どこに注目すべきか、無駄も隙も否応もなく入ってくる。 やるべきことのリストなどなかった。今日一日があるだけで幸運だった。この一時間があるだけで。"あとで"という時間はなかった。今がその"あとで"だった。胸に押し