すみずみまで過剰だけど、たまげる展開があったり想像を絶する変態行為がおこなわれるわけではない。にもかかわらず、スリリングな映画だった。 なによりも、韓国人俳優たちが日本人を演じる韓国人を演じるという二重のお芝居にハラハラさせられるのである。だが、それ以外の部分が弱いわけではない。むしろ映画として隙なく出来上がっているが故に、日本語や日本的所作の微妙だったりあからさまだったりするゆらぎに神経がいくということでもある。 舞台は日本統治下の朝鮮半島で、主人公は4人いる。ひとりは盗賊団に育てられた少女スッキ(キム・テリ)、もうひとりは藤原伯爵を名乗る詐欺師(ハジョン・ウ)。藤原伯爵がメイドとしてスッキを送り込むのが、“華族の令嬢”秀子(キム・ミニ)とその叔父上月(チョ・ジヌン)の暮らす屋敷である。 スッキの手引きにより秀子を籠絡し、その莫大な資産を奪い去ろうという藤原伯爵の計画によって、この4人が
![パク・チャヌク『お嬢さん』](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cff5eebc38517410540c784b7eef3e10bcd29474/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fharmlessuntruths.net%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2017%2F03%2Fthehandmaiden_main-150x150.jpg)