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ブックマーク / www.shinchosha.co.jp (59)

  • 『中動態の世界─意志と責任の考古学─』 國分功一郎 | 新潮社

    誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。 受賞 プロローグ――ある対話 第1章 能動と受動をめぐる諸問題 1「私が何ごとかをなす」とはどういうことか 2「私が歩く」と「私のもとで歩行が実現されている」は何が違うのか 3 意志と責任は突然現れる 4 太陽がどうしても近くにあるように感じられる――スピノザ 5 文法の世界へ 第2章 中動態という古名 1「中動」という名称の問題 2 アリストテレス『カテゴリー論』における中動態 3 ストア派文法理論における中動態 4 文法の

    『中動態の世界─意志と責任の考古学─』 國分功一郎 | 新潮社
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    okbc99 2025/03/20
  • 『4 3 2 1』 ポール・オースター、柴田元幸/訳 | 新潮社

    小説とは多くの場合、誰かの人生を書くものだ。そしてその誰かがどんな人であれ、人生とは一回きりだ。 もし主人公があそこで角を左に曲がっていたら? 想像力豊かな作家の目には、その分岐点から派生したかもしれない別の人生がいくつも垣間見えるにちがいない。とはいえ、リアルさを重視して小説を書こうとするのなら、どれかひとつの人生を選ばなければならない。 でも、誰かについてありえたかもしれない4種類の人生を全部リアルに書くことはできないか? そんな離れ業をやって見せたのが、ポール・オースターの『4 3 2 1』なのだ。 主人公はアーチー・ファーガソン。1.0という章で、ファーガソンが生まれ、彼の人生が始まる。1.1では、彼の父が兄たちと経営していた店が全焼する。1.2でも、この出来事は描かれているのだが、1.3の終わりに至って、あっと驚かされる。父の店は全焼するのだが、父は火災に巻きこまれて命を落とすの

    『4 3 2 1』 ポール・オースター、柴田元幸/訳 | 新潮社
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    okbc99 2024/11/28
  • 『灯台へ』 ヴァージニア・ウルフ、鴻巣友季子/訳 | 新潮社

    ヴァージニア・ウルフはリアリズムのありかたを一変させた。作者がある人物を読者に「説明」するのではなく、その人の「目」を読者にじかに与える手法をとった。『灯台へ』でその技法はある意味頂点に達したと言えるだろう。 この小説の中にウルフが潜ませたのは、自身の読書論である。ウルフには読書の意義について論じた『一般読者』という評論書もあるが、それが理論編なら『灯台へ』は実例編と言えるかもしれない。人びとのとの接し方から人物像や心情がリアルに浮かびあがるように書かれているのだ。 まず、大学教授であり、著名な哲学者であるラムジー氏のの読み方はなかなか特徴的だ。その姿は子どもたちからはこんな風に見えている。父が「あのに没頭しているのはたしかで、たとえばいまみたいに一瞬顔をあげることもあるけど、それはなにかを見るためではなくて、頭を整理して考えをより明確にするためなのだった。それが済むと、心はのなか

    『灯台へ』 ヴァージニア・ウルフ、鴻巣友季子/訳 | 新潮社
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    okbc99 2024/09/29
  • 『魂に秩序を』 マット・ラフ、浜野アキオ/訳 | 新潮社

    わずか2年前、アンドルーは多重人格者の魂の代表として26歳にして“誕生”し、魂たちの共存のため奮闘していた。ある日、殺人犯を事故死へ追い込んだことで、自分が継父を殺害したのではないかという疑念に囚われる。真相解明のため、同じ障害をもつ女性ペニーと故郷へ向かうが、自身の隠された秘密だけでなく闇の魂からの脅威にも晒され……。あらゆるジャンルを包み込む物語の万華鏡!

    『魂に秩序を』 マット・ラフ、浜野アキオ/訳 | 新潮社
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    okbc99 2024/07/16
  • 試し読み | 『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 | 新潮社

    ありがとう西武大津店 「島崎(しまざき)、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」 一学期の最終日である七月三十一日、下校中に成瀬(なるせ)がまた変なことを言い出した。いつだって成瀬は変だ。十四年にわたる成瀬あかり史の大部分を間近で見てきたわたしが言うのだから間違いない。 わたしは成瀬と同じマンションに生まれついた凡人、島崎みゆきである。私立あけび幼稚園に通っている頃から、成瀬は他の園児と一線を画(かく) していた。走るのは誰より速く、絵を描くのも歌を歌うのも上手で、ひらがなもカタカナも正確に書けた。誰もが「あかりちゃんはすごい」と持て囃(はや)した。人はそれを鼻にかけることなく飄々(ひょうひょう)としていた。わたしは成瀬と同じマンションに住んでいることが誇らしかった。 しかし学年が上がるにつれ、成瀬はどんどん孤立していく。一人でなんでもできてしまうため、他人を寄せ付けないのだ。意図的にそ

    試し読み | 『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 | 新潮社
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    okbc99 2024/06/15
  • 『夜の人々』 エドワード・アンダースン、矢口誠/訳 | 新潮社

    1930年代のアメリカでは、銀行を襲う犯罪者たちが悪のヒーローとして大衆のあいだで名を馳せた。 アーサー・ペン監督の「俺たちに明日はない」(1967年)で描かれたボニー・パーカーとクライド・バロー、ジョン・ミリアス監督、ウォーレン・オーツ主演の「デリンジャー」(1973年)のジョン・デリンジャー、その仲間のレスター・ギリス、あるいは機関銃を撃ちまくったジョージ・“マシンガン”・ケリーとそのキャスリン、恐るべき子供(アンファン・テリブル)と呼ばれたチャールズ・“プリティ・ボーイ”・フロイド、あるいはまた息子たちが犯行を重ね、その首謀者とも目されたアリゾナ・クラーク・“マ”・バーカー。 挙げていけば切りがないが、いずれも実在したアウトローである。1930年代はアメリカの大恐慌時代。彼らの多くは疲弊した中西部のプアホワイト。「俺たちに明日はない」のなかに銀行に土地、家屋を取られた貧しい農民がボ

    『夜の人々』 エドワード・アンダースン、矢口誠/訳 | 新潮社
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    okbc99 2024/04/25
  • おつむの良い子は長居しない 第12回/高嶋政伸 波:2024年4月号 | 新潮社

    ※このエッセイには性暴力場面の撮影に関する記述があります 12 インティマシーコーディネーター 昨年はハードな役が続きました。何人もの愛人を囲い、人を殺めることもためらわない詐欺師。歯向かう者は消し、臓器ブローカーに死体を売り払う男。ショットガンで人を撃ち、手をナタで切り落とすサイコパスの連続殺人鬼。 中でも一番ハードだったのは、自分の娘に幼い頃から性的暴行を加え続けている父親の役。そう、NHKドラマ「大奥」で演じた徳川家慶です。放送後、大きな反響をいただきました。 この作品は、まず台を読んだ段階でストーリーがとても独創的なのが気に入りました。が、僕にとっても娘役の俳優さんにとっても心身ともにハードな現場になるのは明らかでしたので、お受けするにあたって僕は必ず「インティマシーコーディネーター」さんを付けてください、とお願いしました。制作サイドも最初からそのつもりでいらしたというので、それ

    おつむの良い子は長居しない 第12回/高嶋政伸 波:2024年4月号 | 新潮社
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    okbc99 2024/03/28
    “現実世界でこのようなことは決してあってはならないと、胸が苦しくなり、そしてこの時に改めて、インティマシーコーディネーターという存在の意義、大切さを、身をもって理解しました。”
  • 『屍衣にポケットはない』 ホレス・マッコイ、田口俊樹/訳 | 新潮社

    地方紙『タイムズ・ガゼット』の人気記者ドーランは、報道より広告収入重視の社の体制と縁を切り、自ら雑誌を創刊。告発記事を次々発表することで報道の信義を貫き、多くの読者を獲得する。そんな彼に対し、古巣の新聞社からの圧力、資金難、告発された関係者による雑誌強奪騒動など、幾多の苦難が立ちはだかる――。真実のみを追究する記者の孤闘を描き、疾走する人間像を浮き彫りにする名作。

    『屍衣にポケットはない』 ホレス・マッコイ、田口俊樹/訳 | 新潮社
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    okbc99 2024/02/29
  • 『成瀬は信じた道をいく』 宮島未奈 | 新潮社

    読み終えるのがもったいないだった。読みたい、でも読むと終わってしまうという葛藤を感じながら一日で読んでしまった。 この小説の魅力はなんといっても主人公である成瀬あかりの圧倒的な存在感だろう。 うまいこと喩えたいのだが、あまりにこれまでに読んだことがない物語なのでいい喩えが見つからない。 強いて言えば、大津に天まで届く巨大な柱が現れて、周囲の人が戸惑う物語ではないかと思う。ほら、全くうまく喩えられていない。 マンションのチラシの完成予想図のような光り輝く柱ではなく、もっとゴリゴリに堅そうな鋼の柱だ。 成瀬あかりは常にかっこいい。最初の作品「ときめきっ子タイム」では「いかにもわたしが成瀬あかりだ」と言って登場する。そんな元寇に対峙した鎌倉時代の武士のような女子高生いるかね。 でも、成瀬がとる行動は常にストレートなのでそんないざ鎌倉みたいな口調にも違和感はない。 郷土愛、防犯、人助け……どの行

    『成瀬は信じた道をいく』 宮島未奈 | 新潮社
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    okbc99 2024/01/25
  • 『東京都同情塔』 九段理江 | 新潮社

    作の舞台は、ザハ・ハディドの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日。犯罪者に快適な生活を保障する刑務所「シンパシータワートーキョー」の設計に携わる牧名は、その空虚な名称を受け入れられず苦悩していた――。 受賞会見で話題を呼んだ「全体の5%くらい生成AIの文章を使っている」という発言に踏み込む決定的談話。(編集部) 私が最初にChatGPTに投げかけた質問はこんなものでした。「毎日が退屈です。レジリエンス(回復力)を高めるにはどうすればよいですか?」。前作「しをかくうま」が芥川賞にノミネートされず、っぽくなっていた時期のことです。 同じ頃、新潮社の編集者に声をかけられ、事をすることになりました。文学や建築の話で盛り上がり、その編集者が口にした「アンビルト」という概念にも関心を持ちました。それは楽しい、充実した時間でした。 ところが事を終え駅に着くや否や、編集者は「原稿、ど

    『東京都同情塔』 九段理江 | 新潮社
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    okbc99 2024/01/17
  • 小川哲『君が手にするはずだった黄金について』特設サイト | 新潮社

    目次 プロローグ試し読み全文公開 大学院生の「僕」は就職活動のエントリーシートで手が止まった。「あなたの人生を円グラフで表現してください」 僕はなんのために就職するのだろうか? そこに何を書くべきなのか、さっぱりわからなくなった僕に、恋人の美梨は言う。「就職活動はフィクションです。真実を書こうとする必要はありません」 三月十日 東日大震災から3年後の3月11日、僕は高校の同級生たちと酒を飲んだ。あの日、どこで何をしていたか――誰もが鮮明に憶えているのに、前日の3月10日については、ほとんど憶えていない。僕はその日、何かワケあって二日酔いになるほど飲んでいたらしいのだが……失われた一日の真相とは? 小説家の鏡 博士課程に進み小説家になった僕に、高校時代の友人西垣から相談が持ち掛けられた。「小説を書きはじめ、仕事を辞めて執筆に専念したい」と言い出したという。しかも青山の占い師のお告げに従

    小川哲『君が手にするはずだった黄金について』特設サイト | 新潮社
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    okbc99 2023/10/18
  • 安藤礼二/心のなかの、いまだ何処にも存在しない場所 | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社

    作家は自らに固有の表現の場所を定め、それを深く、広く、掘り進めてゆく。いまここに『街とその不確かな壁』を世の中に問うた村上春樹は、そうした作業をこれまで徹底して追究してきた希有な作家である。そのことが、誰の目にも明らかとなった。作者自身が巻末に例外的に付した「あとがき」のなかで、この特異な長編小説が書き上げられるまでの経緯を過不足なく語ってくれているからだ。 なによりも、この物語には原型となった中編小説が存在している。雑誌『文學界』一九八〇年九月号に掲載された「街と、その不確かな壁」である(以下、この中編小説を指す場合には「街」を、ほぼ同じタイトルを付された長編小説を指す場合には『街』を用いる)。しかも、作者が自らにとって表現の原型にして表現の原風景としてある作品を長編小説として書き直すのは、今回がはじめてではないのである。現在から見るならば、その初期の文業を代表する『世界の終りとハードボ

    安藤礼二/心のなかの、いまだ何処にも存在しない場所 | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社
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    okbc99 2023/06/11
  • 小川哲/「集大成」なのか、「再生産」なのか | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社

    海外文学から多大な影響を受け、著作が広く翻訳され、日だけでなく世界中に読者を獲得している作家――と言われて、誰の名前を思い浮かべるだろうか。 あるいはこう言い換えてもいい。同じモチーフやテーマを複数の作品の中で繰り返し問い続け、自作の参照や再解釈を行う作家。 ある人は大江健三郎の名前を、また別の人は村上春樹の名前を思い浮かべるだろう。 こうして二人の世界的な作家の特徴を恣意的に取りだすと、二人は非常に似通っているのではないかという印象を抱くかもしれない。しかし――おそらくみなさんもご存知のように――この二人の作風や文体に近い点は見当たらない。むしろ、ある意味では対極にあると言ってもいいかもしれない。『1973年のピンボール』が『万延元年のフットボール』をもじったタイトルであるという点以外に、二人を結びつける点はなさそうに思える。 どうして僕がこんな話をしたのかというと、村上春樹の新作『街

    小川哲/「集大成」なのか、「再生産」なのか | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社
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    okbc99 2023/06/11
  • 村上春樹『街とその不確かな壁』特設サイト | 新潮社

    コロナ・ウィルスが日で猛威を振るい始めた二〇二〇年の三月初めに、この作品を書き始め、三年近くかけて完成させた。その間ほとんど外出することもなく、長期旅行をすることもなく、そのかなり異様な、緊張を強いられる環境下で、日々この小説をこつこつと書き続けていた。まるで〈夢読み〉が図書館で〈古い夢〉を読むみたいに。そのような状況は何かを意味するかもしれないし、何も意味しないかもしれない。しかしたぶん何かは意味しているはずだ。そのことを肌身で実感している。 村 上 春 樹

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    okbc99 2023/06/11
  • 小川洋子/垂直移動に耐える | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社

    一人の男の長い告白を、今、聴き終え、安易にうなずくこともできず、かけるべき言葉も浮かばず、ただ沈黙の中にじっと身を沈めているような気分だ。私たちの間で燃えていたはずの薪ストーブはいつの間にか消え、林檎の香りは半地下の部屋の暗がりに飲み込まれている。 最初から、自分は男に会ったことがあるはずだ、と気づいていた。学生寮の屋上で、飛び去る蛍に手をのばす若者、ただ果てしもなく歩き続けるだけのデートをするカップル、が一冊もない図書館へ通う目の悪い〈夢読み〉、たまりの水面に映る影。かつて目にしたそのようなもろもろの場面で、彼の姿を認めたのは間違いない、と思うこちらの確信に、彼は無関心を装う。あくまでも礼儀正しく、しかしきっぱりと、いいえ、あなたのことは知りません、という態度を貫く。 それでも男の声は心地よく耳に届いてくる。彼にとっての最も大事な話を、私一人のために打ち明けてくれているような錯覚に陥る

    小川洋子/垂直移動に耐える | 複数の視座で読む村上春樹新作 | 新潮社
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    okbc99 2023/06/11
  • 新潮 2022年1月号 | 新潮社

    なじみあるあの世界は排ガスとともに彼方へ消えうせた。 左右いずれも見とおしの悪い昨今、絵空事めいたアクシデントが相つぐばかりの道が果てなくつづく。 わが身の現実が、異世界の虫魚にいやぶられる悪夢にでも放りこまれたかのようだ。 あるいは現に、そういうことが起こってしまったのかもしれない。 振りかえってみれば、路上に散らばる証拠をいくつも目撃した気がする。 イーロン・マスクの登場は、その最たるものだろう。 ● そもそもの話、イーロン・マスクの出現はきわめて不自然な現象と言える。 マーベル映画キャラクターのモデルになったというが、なるほど彼の経歴や人物像はトニー・スタークにもひけをとらぬくらいに虚構じみている。ふたりの名を不意に耳にすれば、実在するほうはどっちだったかと混乱しないでもない。 仮に両者が入れかわり、小型核融合炉を胸もとに装着し全身パワードスーツをまとったイーロン・マスクマンが上空

    新潮 2022年1月号 | 新潮社
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    okbc99 2022/11/22
  • リチャード・パワーズ、木原善彦/訳 『惑う星』 | 新潮社

    誰にも似ていたくない。他の誰でもない自分としてこの世に在ること、その意味を実感したい。自分自身の唯一性を実感したいというのは、とても根源的な感情だろう。 それと同時に、誰かに理解して欲しいという想いもまた同様だと思う。自分がこれこれこのような存在であることを受け止めて、理解して欲しい。それは、もしかしたら先の「他の誰でもない自分としてこの世に在ること」と矛盾しないどころか、その欲望を補完するものかもしれない。ならば、わかり合いたい、と思うのはどうだろう。「唯一の自分を認識されたい」から派生した「他者からの理解」を欲する心ではなく、誰かをわかりたいという気持ち、それも同様に根源的なものなのだろうか? わかってもらう代わりに、誰かをわかってあげるべきだというだけのことなのか? 太陽との位置関係、自転する偶然、月や水の存在、大気の組成。それらの奇跡的なバランスで我々の住む惑星には生命が誕生し、育

    リチャード・パワーズ、木原善彦/訳 『惑う星』 | 新潮社
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    okbc99 2022/11/16
  • 風間賢二 『怪異猟奇ミステリー全史』 | 新潮社

    18世紀英国ゴシック小説は、フェイク精神、心霊主義、疑似科学、進化論・退化論、観相学・骨相学、セクソロジー、変態性欲と、あらゆる思想・学問を吸収し、日へと渡ってきた。黒岩涙香に始まり、江戸川乱歩、横溝正史を経て、綾辻行人、京極夏彦へ――怪異猟奇を孕んだ日ミステリーの成立を解き明かす、異端の文化史。

    風間賢二 『怪異猟奇ミステリー全史』 | 新潮社
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    okbc99 2022/02/04
  • 『吃音―伝えられないもどかしさ―』 近藤雄生 | 新潮社

    言葉がつっかえる、いわゆる「どもる」吃音の人は、詰まり方や軽重の度合いはさまざまでも、日中におよそ百万人いるとされる――僕も、その一人である。 決して症例が少ないわけではないのに、吃音が起きるメカニズムは不明。治療法も確立されていない。なにより〈人にとっては深刻でも、他人からは問題がわかりにくい場合がある〉。苦手な言葉でも場面や体調などによってうまく話せるときがあるから、ややこしい。さらに〈うまく話せなくなりそうな場面で沈黙すれば、他の人から見たらそもそも何が問題なのかほとんどわからないということにもなりうる〉……。 著者の近藤雄生さん自身、書の中でも詳細に記しているとおり、かつて吃音に苦しんできた。ところが二十代も残り半年になった頃、2005年の終わりに突然症状が軽減して、〈吃音は、私の中からその姿を消していった〉。そうなのだ。そういうことがあるのだ、吃音には。僕も一番症状がひどか

    『吃音―伝えられないもどかしさ―』 近藤雄生 | 新潮社
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    okbc99 2021/05/31
  • 『吃音―伝えられないもどかしさ―』 近藤雄生 | 新潮社

    店で注文ができない。電話に出るのが怖い。どもって奇異な視線を向けられたらという不安感から逃れられない……話したい言葉がはっきりあるのに、その通りに声が出ない「吃音」。理解されにくいことが当事者を孤独にし、時に自殺に追い込むほど苦しめる。自らも悩んだ著者が、当事者をはじめ家族や専門家など、多数の関係者に取材を続け、問題に正面から向き合った魂のノンフィクション。

    『吃音―伝えられないもどかしさ―』 近藤雄生 | 新潮社
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    okbc99 2021/05/26