誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。 受賞 プロローグ――ある対話 第1章 能動と受動をめぐる諸問題 1「私が何ごとかをなす」とはどういうことか 2「私が歩く」と「私のもとで歩行が実現されている」は何が違うのか 3 意志と責任は突然現れる 4 太陽がどうしても近くにあるように感じられる――スピノザ 5 文法の世界へ 第2章 中動態という古名 1「中動」という名称の問題 2 アリストテレス『カテゴリー論』における中動態 3 ストア派文法理論における中動態 4 文法の
