中国を代表する映画監督の一人、 賈樟柯監督の最新作「罪の手ざわり」を見た。 現代中国社会の鬱屈を描いた傑作という映画評が多いようだが、実際には「中国イヤな話」系ニュースをつなぎあわせたパッチワーク。日本のウェブニュースやいわゆる「反中本」とほぼ元ネタは同じだったりする。正直残念な一作だったのだが、「この映画をほめているのは誰か?」という問題に目を向けると興味深い構造が浮かび上がる。 ■実際の事件を題材に 本作は4つのエピソードによって構成されているのだが、いずれも実際に起きた事件を題材としている。 (1)「村長をたらしこんで安値で炭鉱を手に入れた成金村民にむかつく男―山西省」 →2001年、胡文海事件 (2)「銀行で大金をおろした金持ちを専門に強盗する男―重慶」 →2012年、周克華事件 (3)「エロ中年に迫られて刃物を抜いてしまった女―湖北省」 →2009年、鄧玉嬌事件。 (4)「飛び降