美的理由についての前置き 快楽主義 エンゲージメント理論 共同体主義理論 ネットワーク理論 ✂ コメント 参照文献 美的価値についての議論は引き続きたいへん盛り上がっているが、次の事実は意外なほどに無視されている。すなわち、美しさや優美さは比較・ランクづけ可能である。絵の下手な私が模写した《真珠の耳飾りの少女》は、フェルメールによるオリジナルほどには美的価値がない。 「趣味については議論できない」「美は見る人の目の中にある」を真に受けている人は、美的価値に上下があるという観察自体を否定したくなるだろう。「みんな違ってみんな良い」というわけだ。しかし、仮になんらかの観点から私の模写がフェルメールのオリジナルを凌いでいるのだとしても、それと同時に、前者が後者に比べて稚拙であり、覇気がなく、ごくふつうの意味において劣っていることを否定できるわけではない。芸術家やパフォーマーですら創作や上演に際し