ひょうりゅう【漂流】 ( 名 ) スル ① 船などが海上をただよい流されること。 「嵐の海を-する」 「 -物」 ② あてもなくさすらうこと。 「余の考えがここ迄-して来た時に/草枕 漱石」 〜「大辞林」第三版(三省堂)より〜 周知のとおり、「漂流」とは海上や水上を漂い流れる様を表す言葉である。 今回、話をしていただいた方は、ヨットが航行中に転覆し、約1カ月もの間、漂流した末に救助されるというまれな経験の持ち主だ。海上をあてどなくさまよう中でいったい彼の身に何が起こったのか。そして何を食べ、何に耐え、どうやって生還したのか──。 1991年(平成3年)12月29日午後8時ごろ、グアムを目指す外洋ヨットレースに参加していた「たか号」が暴風雨によって太平洋沖で転覆。乗務員7人のうち、船内に残された1人が水死、残ったクルーの6人はライフラフト(膨張式救命いかだ)で避難し、太平洋上を南へと漂流し始