こんな話がございます。 平安の昔、白河天皇の御代の話でございます。 白河天皇は二十歳の若さで即位なされました。 ところが、その後六年間、世継ぎに恵まれませんでしたので。 次第に、異母弟らに皇位を継がせる話が持ち上がりまして。 天皇は非常に心もとない日々を送っておられました。 そこである時、僧侶を招いて祈祷をさせることにいたしましたが。 これが、当時、祈祷の効験あらたかなることで知られていたという、 三井寺(みいでら)の僧、頼豪阿闍梨(らいごう あじゃり)でございます。 天皇は、頼豪を召し出しますト。 「ともかくも、皇子さえ生まれるようにしてくれれば良い。それさえ叶えば、何でも望むものを褒美に取らせるぞ」 ト、仰せられました。 頼豪が畏まって申し上げますことには。 「久年、深く望んでおりますことがございます。もし主上(おかみ)の仰せにご相違さえなければ、皇子のご誕生はきっと叶えてご覧に入れま
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