特別な女性に選ばれる凡庸な男性。 このような図式がかくもライトノベルに氾濫しているのは、 けっきょくのところ選ばれない男性の欲望を 仮想の世界で昇華するための装置がライトノベルであるということだ。 つまり実社会では徹底的に代替可能で凡庸な読み手に対して、 仮想の世界でのかけがいのなさ(代替不可能性)を提供するチャンネルがライトノベルだ。 その意味でライトノベルに現れる女性は、実のところ女性ではありえない。 それは読み手側の欲望の投影であり、極論すれば男性のネガであるに過ぎない。 万能でありながら主人公に奴隷的な忠誠を見せる「長門有希」が これほどにもてはやされているのがその証左である。