冤罪(えんざい)による死刑で夫を奪われた妻は、何を求め、どう行動したのか。映画「白い牛のバラッド」(2020年、イラン・フランス)は緊張感あふれる映像を通して、死刑をめぐる問題と社会のあり方を問いかける。イラン本国では劇場上映が禁じられた話題作。舞台となったイラン同様、日本も世界では少数派となった死刑制度を残す国だ。日本公開を前に、テヘランで活動を続ける2人の監督にリモートでインタビューした。作品は18日から東京・TOHOシネマズシャンテなどを皮切りに全国で順次公開される。 映画は冒頭、収容中の夫のもとに駆けつける妻・ミナの表情を追う。面会に訪れたこの日は、死刑執行の当日。夫婦の最後の対面の間、閉じられた扉からミナのおえつが漏れてくる。