バブル崩壊後、20年近くにもわたる長期に低迷が続いている日本経済の建て直しは急務である。子ども手当ての支給や高校授業料の実質無料化などによって短期的な景気刺激は望めるものの中長期的な経済成長戦略が欠如しているということは、現政権の経済政策の問題点として、しばしば指摘されるところだ。 経済成長を支える三つの要素は、労働投入、資本蓄積、技術進歩だが、少子高齢化によって人口減少が続く日本では、経済成長するためには技術進歩がこれまで以上に重要となる。しかし現実には、労働者一人当たりの生産額などの指標でみても、日本の生産性向上の速度が大きく低下しているのは明らかで、躍進著しい新興国は言うまでも無く、他の先進工業国と比べても停滞は顕著である。日本経済の成長戦略としては、生産性の向上をいかに図るかという点に力点が置かれることが多い。日銀の白川総裁も、「趨勢的な成長期待を高めること、言い換えると、生産性の
世界同時不況と日本経済 1929年の世界大恐慌から80年が経過した世界経済は、再び「世界同時不況」というべき世界的な実体経済の悪化を経験した。それは、米国サブプライム住宅ローンの焦げ付きに端を発し、2008年9月のリーマン・ショックを経て世界中に飛び火したことで生じた。サブプライムローン危機が発生した当初は、日本への影響は軽微であり、米国経済の停滞が世界経済に及ぶ可能性は限定的であろうというデカップリング論も指摘されていた。 だがこのような楽観的な予想を裏切りつつ、実体経済の悪化は進んだ。急激に進んだ円高・株安、輸出の減少は国内生産を直撃し、2008年10月から2009年1月にかけて生産は3割強の落ち込みという、戦後の日本が経験した中で最も急速かつ深刻な経済停滞が生じたのである。 「失われた20年」という視点 なぜこのような状況が生じてしまったのだろうか。理由として挙げられるのは、2
(2010年4月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 世界の新興国を見渡すと、大抵、実質為替レートが過去1年間で急上昇してきた。この間にブラジルのレアルは27%、ロシアのルーブルは14%上昇した。利用頻度の高いアジア新興国の主要10通貨の動きを示す「ブルームバーグ・JPモルガンアジア通貨指数」は現在、19カ月ぶりの高値をつけている。 通貨上昇の原因は、新興諸国で起きている「資本の大量流入(capital bonanza)」だ。これは先進国の超低金利とその他諸国の金利上昇に後押しされた面もあるが、先進国との対比で新興国経済の信用力と将来展望が根本的に再評価された影響も大きい。 新興国はその結果、過剰資本やそれに付随する通貨の過大評価、安い輸入品の大量流入に見舞われる恐れがある。また、こうした大量の資本の波がいずれ引いた時には、極端なボラティリティー(市場の振れ)に襲われる可能性もある。
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