6月10 柏原宏紀『明治の技術官僚』(中公新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 地味なタイトルの本ですがこれは面白いです。 副題は「日本近代をつくった長州五傑」で、伊藤博文、井上馨、山尾庸三、井上勝、遠藤謹助の長州五傑(長州ファイブ)に焦点を当て、日本の近代国家形成、技術官僚制の成り立ち、さらに政治における専門性を考えさせる内容となっています。 同じ明治期の官僚を扱った新書の名著に清水唯一朗『近代日本の官僚』(中公新書)がありますが、あちらが官僚たちの「立身出世」の物語だったのに対して、コチラはある意味で、近代国家の確立とともに官僚機構から押し出されてしまった者の物語でもあります。 そして、その中で明治国家の頂点に立ったのが伊藤博文なのですが、その伊藤が数々の失敗にもかかわらず明治政府の中で重きをなしていったのかがわかる内容にもなっています。 目次は以下の通り。 序章 現代の技術官僚と長