静岡県内で今年に入ってから、特殊詐欺の前兆とみられる不審電話が急増している。警察官や金融機関をかたる従来の手口に加え、「令和」への改元を利用したものや、高齢者の資産状況などを事前に聞く「アポ電」から実際に被害につながったケースもある。被害を防ぐため、県警は4月から実際にかかってきた電話の録音データ公開に踏み切った。 「番組内で今、お一人暮らしの方を対象に統計調査を行っていまして」 3月上旬、静岡市内に住む80代の女性宅に電話をかけてきた男が、そう切り出した。NHK静岡放送局職員の「アンドウ」と名乗る男は、実在する情報番組の調査と説明。物腰柔らかいトーンに、女性は警戒する様子もなく、「はい」と返していく。 やり取りは、県警が4月8日からホームページ(HP)上で公開している「実録・サギ電話」の一幕。県警として初めて、資産状況を聞き出す電話の音声データを公開した。 女性が1人でいるか確認するため