市場取引で価格が決まる株式を中央銀行が買い支えるという、主要国に例のない政策を日銀が始めて10年がたった。日銀の上場投資信託(ETF)購入は、株式市場をゆがめる以外に、富裕層に恩恵が偏る格差助長の問題もはらむ。だが、「日銀頼み」の市場では売却のそぶりを見せただけで株価下落を招きかねず、日銀は引くに引けない状態だ。(皆川剛)
◆現在は規制なし、持続化給付では97% 持続化給付金事業の再委託問題を巡り、経済産業省の一部の部署で過去に、国の事業を受託した企業・団体が事業を再委託する場合、委託額の50%を上限にしていたことが分かった。業務の丸投げを防ぐためで、少なくとも2000年代には一定のルールが存在したとみられる。同省には現在こうした制限はなく、給付金事業を国から受託した一般社団法人は、ほぼ丸投げの97%を電通に再委託していた。 (森本智之、皆川剛) 本紙が確認した政府の行政文書に記されていた。総務省が08年に中央省庁の委託契約の実態を調査した報告書によると、経産省の原子力安全・保安院(廃止)では「応募条件において『再委託比率を原則50%以内とする』としている」と明記。再委託を制限していたことが分かる。
安倍晋三首相が八月にトランプ米大統領から請け負った飼料用トウモロコシの大量購入をめぐり、購入の主体である民間企業の動きが鈍い。本紙が主要な飼料メーカーに取材したところ、追加または前倒しで購入すると答えたのは現時点でゼロ。一方、「コーンベルト」と呼ばれる米中西部の農家は価格上昇への期待を高める。コーンベルト各州は来年の大統領選への影響力が大きい。購入が進まなければ、二十五日(現地時間)に予定される日米貿易協定の署名後も両国間の火種となる可能性がある。 (皆川剛、ワシントン・金杉貴雄) トウモロコシの購入は八月にフランスで開かれた日米首脳会談で浮上。米中摩擦により売れなくなった米国産トウモロコシについて、トランプ米大統領が「安倍首相が日本を代表し余ったトウモロコシを全部買う」と述べ、日本政府も輸入に応じると表明した。
正社員なのに何年勤めても給料が上がらない-。定期昇給制度のない業種が増えている。従来常識では正社員なら年齢や経験とともに賃金が上がる。だが、介護関係や、販売店員などサービス業では正社員で長期間勤めてもわずかしか昇給しない状況が厚生労働省が三月末に公表した賃金構造基本統計調査(二〇一八年)で鮮明になった。政府は「同一労働同一賃金」を掲げ、非正規社員の待遇を正社員に近づけると言うが、実際には正社員「低賃金層」が急拡大している。 (渥美龍太) 「この業界では、寿退社の意味が普通と違います」。さいたま市の介護事業所で正社員のケアマネジャーとして働く女性(54)は言う。通常は結婚を機に、女性が育児に専念するなどで退社する意味。だが、介護業界では、結婚や出産でお金がかかるようになると、男性も女性も収入増を求め転職していく。「それほど給料は低く、ずっと上がりません」 女性が五年間の給与明細を取り出した。
安倍政権が掲げる働き方改革について主要企業約百社に尋ねたところ、一部専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」に賛成する企業は28%で、裁量労働制の対象拡大も支持が35%にとどまったことが七日、共同通信のアンケートで分かった。いずれについても約六~七割の企業が「どちらとも言えない」と賛否を保留した。 裁量制はデータ不備の影響で、六日に国会提出された「働き方」関連法案から削除されたが、政府は今後も裁量制拡大を目指す方針。残業代ゼロ制度は法案の柱で後半国会の最大の焦点となる。経済界が強く求めてきた経緯があるが、政府の説明不足で内容が見えにくいことや国会での混乱が影響し企業が慎重姿勢に傾いていることがうかがえる。 アンケートは二月下旬から三月下旬にかけ百十二社を対象に実施。残業代ゼロ制度について回答した百社のうち賛成は二十八社、反対は一社で、保留は七十一社。十
訪日外国人旅行者が急増する中、滞在中にけがや病気で病院にかかり、医療費が未払いになるケースが増えているとみられることから、厚生労働省は十六日までに未払いの実態調査に乗り出すことを決めた。 近畿運輸局が昨年、大阪府で実施した調査では、訪日客を受け入れた病院の30%で未払いが発生。旅行保険に入っていなければ全額自費払いになるため、救急病院にかかり一件で約八百万円というケースもあった。国民の保険料や税負担に直接は影響しないが、病院経営を圧迫する要因になりかねないとの懸念が広がっている。 訪日外国人旅行者は二〇一〇年には約八百六十一万人だったが、政府の観光振興キャンペーンなどで一六年に過去最高の約二千四百四万人に急増。東京五輪・パラリンピックが開催される二〇年には四千万人に増やす目標を掲げている。観光庁によると、訪日客の約30%は旅行保険に加入しておらず、医療費未払いの一因になっている。 厚労省は
新国立競技場(東京都新宿区)の建設問題で、文部科学省から事業を任された日本スポーツ振興センター(JSC)内では少なくとも昨年春の時点で、計画が行き詰まりをみせていたことが、関係者への取材で分かった。下村博文文科相は今年五月に初めて、コストや工期が予定を大幅に超える恐れがあると認めたが、関係者の証言からは、JSCが早くから計画の無謀さに気付きながら軌道修正できなかった様子が浮かぶ。 (森本智之) 「文科省も有識者会議も助けてくれない」「日本の設計事務所は能力が低いのでしょうか」。昨年春、東京都内のJSC本部に呼ばれた建築関係者に、複数の幹部職員が弱り切った様子で切り出した。 総工費千三百億円で始まった計画は、英国の建築家ザハ・ハディド氏の基本デザインがコスト増を招き、二〇一三年十月の試算で三千億円に膨脹。JSCは規模を縮小して基本設計をまとめていたが、昨年三月の公表予定は既に過ぎていた。 J
東京電力福島第一原発事故で、東電が二〇〇八年、同原発について「津波対策は不可避」と記した内部文書を作成し、社内会議で配っていたことが分かった。東京地裁で十八日開かれた原発事故をめぐる株主代表訴訟の口頭弁論後、株主側の弁護団が明らかにした。これまで東電は「大津波を予測できなかった」と主張してきたが、事故の二年半前に対策の必要性を認識しながら、先送りした実態が浮かんだ。 文書は、東電本店が作成し、〇八年九月十日に福島第一原発で開かれた会議で配られた。会議では国の耐震安全性評価への対応を本店の担当部署と福島第一原発幹部が協議し、当時、同原発所長だった小森明生(あきお)元常務も出席していた。機密性が高い情報として、文書は会議後に回収された。 弁護団によると、文書には、福島第一原発沖合を含む海域で、マグニチュード(M)8クラスの地震津波発生の可能性があるとした政府の地震調査研究推進本部(推本)の予測
【ワシントン=竹内洋一】米国務省のハーフ副報道官は三十日の記者会見で、安倍晋三首相の靖国神社参拝に米政府が「失望」を表明したことについて「われわれが選んだ言葉から(日本への)メッセージは非常に明確だ」と述べ、首相の参拝に反対する姿勢を重ねて表明した。 ハーフ氏は首相の靖国参拝を「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動だ」とあらためて批判。その上で「日米関係の強さの証しは、意見の違いがある時に率直に話し合えることだ」と述べ、この問題に関して意見交換を続ける考えを強調した。
日本が今置かれている国際情勢は、憲法ができたころとはまったく違う。護憲と叫んで平和がくると思ったら大間違いだ。改憲の目的は国家の安定と安寧だ。改憲は単なる手段だ。騒々しい中で決めてほしくない。落ち着いて、われわれを取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正は成し遂げられるべきだ。そうしないと間違ったものになりかねない。
東京電力が、保養所や接待施設の維持管理費、年8・5%もの利子が付く財形貯蓄などさまざまな社員優遇に必要な費用を、電気料金を決める際の原価に算入し、電気料金で回収していたことが本紙の調査で分かった。こうした事実を東電も認めている。東電の手厚い福利厚生は、電力会社を選ぶことができない消費者の負担によって維持されてきたことになる。 電力料金は「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出される。施設の修繕費や燃料費など発電に必要な費用を積み上げ、電力会社の利益を上乗せし、その総額を電力料金で回収する仕組み。 ただ、費用に何を計上するかは電力会社の判断に任されている面が強い。既に、官庁OBを受け入れている財団法人への拠出金や広告宣伝費など発電とは関係のない費用に入れられていたことが判明している。経済産業省の有識者会議(座長・安念潤司中央大教授)は今後、これらの費用は計上を認めない考えを示し、同省もその考えに
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