およそ5年ぶりの新作として発売された『真・女神転生Ⅴ』は、あくまでも今遊ぶことに意味があるRPGである。 日本の首都「東京」。それは秩序立っていながら、混沌としており、時に枷として人を縛りながらも、時に翼として人を天高く舞い上がらせる。孤独と孤独が出会う場所。固く結んだ縁を手放す場所。天使と悪魔の顔を持つ場所。トウキョウ。『真・女神転生』からおよそ20年近く、アトラスはこの二律背反の象徴のような街の崩壊を通じ、今生きている人間の内面をさまざまな角度から画面上に描き出すことを試みてきた。それはある種、年代ごとに街を捉えた風景写真のようで、その時々にしかない人間の顔を浮かび上がらせていたように思う。では、2021年におけるわたしの顔は一体どんな姿をしているのだろう。 歴代最高の品質に至ったゲームシステム JRPGであることの弱点は、JRPGであることだ。JRPGは「コマンド式のターンベースな戦