坂本龍一の存在を間近に感じる遥かなるサウンド 坂本龍一『12』という傑作 坂本龍一の新作『12』は、前作『async』からほぼ6年ぶりとなる作品である。「遥かなるサウンド(Sound far beyond)」と題された李禹煥(リ・ウファン)によるドローイングをフロントカヴァーに配したこの作品は、これまでの坂本のどのアルバムとも異なる、非常にパーソナルなものであることが特徴だ。それは、〈あまりに好きすぎて、 誰にも聴かせたくない〉と作者本人に言わしめた『async』にも感じるものではあった。しかし、その言葉どおりに、なによりも、自分自身のために制作されたのではないかと思われる『async』は、それでも(あたりまえではあるが)発表を前提にオリジナル・アルバムとして制作が開始されたものだ。一方、この『12』では、作品の成り立ちによるところが大きいだろうが、必然的にそうした性質を帯びることになった
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