社会学者の常なのかもしれないが、僕の担当する科目のカバーする範囲は広い。たとえば大学で教えている「情報社会論」では産業構造と雇用の変化だとか情報技術と監視社会の問題だとかを扱う一方で、「グローバリゼーション論」では国際関係論や市民社会論に言及していて、受講する学生もふたつの科目でずいぶん傾向が違う。そんな科目の中でもゼミは特殊で、消費社会論を軸にしながらも、「ネットですべてが取引される時代に、情報化されない価値とは何か」という現代的なテーマに取り組んでいて、既存の科目の範囲からはやや外れる。教員の関心を中心に据えながら、学生たちが各々のテーマを持ち寄って研究するスタイルは一般的な研究室の運営方法ではあるけれど、それだけに外部の人に説明しづらいところもあって、年に一度くらいは研究したことをまとめてみないといけないプレッシャーがある。昨年の「体感消費とは何か」というエントリはそのために書かれた