新しいビジネス書を目にしたときの高揚感と、読後に生じる感情の落差をどう表現すればいいだろう。著名人の経験談や10年後を断じる言葉には、確かに勇気を与えられる。しかし、どうにも翌日には内容があまり思い出せないことが多いのだ。 ジェイアール東海エージェンシーが2014年に行った調査によると、20代のビジネス書読者のうち4割以上が、ビジネス書を買っただけで満足した経験をもつそう。「ほとんどのビジネス書は一時的に『効いた気がする』栄養ドリンクだ」と断じられることもある。だとすれば、価値あるビジネス書とはどんなものなのか。 そんな中で一風変わったスタイルをもつのが、読書猿『アイデア大全』だ。本書は著名な経営者の経験談や専門家のコメントを一切載せず、哲学や経済学、小説家の発想法などあらゆるジャンルの「アイデアを生むための方法」を42個も掲載。さらに特徴的なのは、各アイデア術の内容以上にそれらが生まれた