フランスの公立学校でイスラーム少女のかぶるスカーフが禁止された。差別的でも序列的でもない“共生”には何が必要か。ジェンダー歴史学者が、差別と紛争が日常化する西洋の現在と問… ヴェールの政治学 [著]ジョーン・W・スコット 2004年、フランス議会は、公立学校において宗教的帰属を「誇示」するアイテムの着用を禁じた法律を可決した。10年には、公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する法律を成立させた。標的とされたのは、ムスリム女性の、前者ではヘッドスカーフ、後者ではブルカである。ブルカを装着している女性が、フランスのムスリム人口の0・01%にも満たないにもかかわらず、である。 人権先進国といわれるフランスが、服装の自由を否定してまで防禦(ぼうぎょ)しようとしたものはいったい何だったのか。なかでもイスラームのヘッドスカーフ(ヴェール)がまず標的になったのはなぜか。 ヴェールは、フランス人の多くにとって
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