広島赤十字・原爆病院。建て替え計画に伴い、被爆者の臓器標本の取り扱いに頭を痛めている=広島市中区千田町1丁目 【後藤洋平】広島赤十字・原爆病院(広島市中区)が、保存する被爆者の臓器標本の扱いに頭を痛めている。建て替え計画に伴い保存場所が狭くなるうえ、ホルマリン漬けの標本は長年経つと研究に使えなくなるからだ。「被爆者が生きた証し」として大切に保存してきたが、将来の「廃棄」も現実味を帯びてきた。 同病院解剖棟の2、3階には、計約300平方メートルのスペースにバケツ型の保存容器が整然と並ぶ。ホルマリン漬けの臓器標本などは約20万点。うち被爆者の標本は2万8275点にのぼる。 病院は57年前から、死因がはっきりしない患者や手術で摘出した臓器標本をすべて保存。被爆者の標本はがんの研究などに生かしてきたが、金岡峰夫事務部長は「人類史上初の核兵器の被害者が生きた証しを捨てるという発想がなかった」と説