当時7歳だった女性は、首筋を親戚にナタで切りつけられた。一緒にいた母やきょうだいが亡くなった=写真集から 太平洋戦争末期に沖縄の島々で起きた住民の「集団自決」が、写真集になった。沖縄出身の写真家・山城博明さん(63)が生き残った人たちと向き合った。歴史のはざまに消え入りそうな暗い記憶に光を当てた。 白髪の女性の首筋に、おじにナタで切られた傷がくっきりと残る。おでこをクワで殴られた男性は、こちらをじっと見つめている。 約80枚を収めた「沖縄戦『集団自決』~消せない傷痕」(高文研)。山城さんは読売新聞西部本社から1985年に琉球新報へ。09年に定年を迎え、今は南風原町(はえばるちょう)に住み契約カメラマンをしている。 那覇市の西方沖に浮かぶ慶良間(けらま)諸島が撮影の主な舞台だ。日々の仕事の合間に取材を重ねてきた。 きっかけは渡嘉敷島を訪ねた07年4月。13人の家族らを失った女性を取材中、物陰