府中刑務所(東京都府中市)の職員が新聞を閲覧させなかったのは不当だとして、同刑務所に収容されていた男性受刑者が、国に500万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。 八木一洋裁判長は「社会の様々な出来事を知ることは円滑な社会復帰につながり、受刑者にも新聞を読む自由が保障されている」と述べ、職員の過失を認めて5万円の支払いを命じた。 判決によると、同刑務所は2008年3月と10月の2回、男性受刑者が腰痛で独居房に寝転んでいたことなどを理由に、現場の職員の判断で、男性に新聞を閲覧させなかった。国側は、報道に接する機会を受刑者に与えるとした刑事収容施設法について、「努力義務に過ぎず、権利を保障したものではない」と主張していた。