困ってるひと [著]大野更紗[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)[掲載]2011年7月10日著者:大野 更紗 出版社:ポプラ社 価格:¥ 1,470 ■制度の谷間の難病、挫けそうでも笑う ミャンマーの難民問題を研究する24歳の女性が、突然、難病にかかった。病名は「筋膜炎脂肪織炎症候群」。免疫システムが正常に制御されず、全身に炎症がおこる。何十種類もの薬を服用しつつ、熱、倦怠(けんたい)感、痛みに苦しむ毎日が続く。 本書は、発病からの苦闘を描いたユーモアたっぷりの闘病ノンフィクションだ。ネット連載時から話題になり、ツイッター上では絶賛の声があふれた。 最初は、どこの病院に行っても、何の病気なのかが分からない。原因も不明。いくつかの病院を転々とし、自力でたどり着いた大学病院でようやく入院。本格的な治療がスタートする。 そこで著者の前に立ちはだかったのが、日本の複