日本の近代化、そして戦後復興を支えた石炭産業の遺産は九州北部と北海道を中心に全国に点在している。福岡県志免町教育委員会で学芸員を務める筆者は1998年から2010年にかけ、北海道から西表島(沖縄県)まで各地の石炭産業遺産を訪ね歩き、その成果を本書にまとめた。 取り上げられた90カ所の遺産は炭鉱跡にとどまらず、1910年築の筑豊石炭鉱業組合直方会議所(現・直方市石炭記念館)、石炭で財をなした麻生太右衛門と伊藤伝右衛門の邸宅、石炭輸送の拠点となった折尾駅など幅広い。解説に添えられた写真も多く、石炭産業の裾野の広がりを感じることができる。巻末の遺産一覧には、住所や連絡先、見学の可否も記載されており、遺産見学の手引としても使えそうだ。 産業史の中で大きな役割を果たした石炭だが、厳しい労働、悲惨な坑内事故など、マイナスイメージとして語られることが少なくない。筆者は石炭がもたらした豊かさとともに、こう
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