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ブックマーク / book.asahi.com (20)

  • 衝撃的なグローバル経済の実態|好書好日 トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ) 著者:ジャン=バティスト・マレ 出版社:太田出版 ジャンル:暮らし・実用

    トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ) 著者:ジャン=バティスト・マレ 出版社:太田出版 ジャンル:暮らし・実用 トマト缶の黒い真実 [著]ジャン=バティスト・マレ タイトルを見て「買ってはいけない」系の話かと思ったらまったく違った。書が描くのはトマト缶業界で台頭してきた中国企業である。「イタリア産」の缶詰も、加工地がイタリアであり、中身は中国から運ばれているものが多い。産地偽装でよく聞く話ではある。 中国の場合、トマトの主要な産地・新疆は、反革命犯や政治犯を「改造」するために労働をさせる「労働改造」の一大拠点でもあった。著者は2013年にこの制度が廃止された後も多くの収容者がトマトの収穫作業を強いられているという証言を新疆で引き出している。私たちはどこかで、反体制の知識人を含む人々がもいだトマトべているかもしれないのだ。 書はグローバル経済の実態を示す一冊でもある。フ

    衝撃的なグローバル経済の実態|好書好日 トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ) 著者:ジャン=バティスト・マレ 出版社:太田出版 ジャンル:暮らし・実用
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    orzie 2022/11/05
    “私たちはどこかで、反体制の知識人を含む人々がもいだトマトを食べているかもしれないのだ。”
  • 朝井リョウ『正欲』 「多様性」というおめでたさ|好書好日

    自分のことを良く見せようとする技術が卓越している人が苦手なのだが、書評の冒頭でこう書くことによって、同じような苦手意識を持っている人に共感されたいという欲があるわけで、メッセージを発するという行為には、どうしたって、いくつもの欲がこびりついている。 朝井リョウの作家生活10周年を記念した長編小説は、あらすじの紹介を拒む。拒むような内容であると同時に、書についてのインタビュー記事などに目を通すと、書き手もそれを拒んでいるように思える。 と息子の三人で暮らす検事の寺井啓喜(ひろき)、ショッピングモールの寝具売り場で働く桐生夏月、大学の学園祭実行委員の神戸(かんべ)八重子の三人の視点で動いていく物語は、一見、なんら関係がないと思いきや、とある秘密をめぐり、やがて、静かに、そして不気味に絡み合っていく……といったあらすじは、やはり不要というか、不毛なのか。 善人を見ると、その人の裏の顔を探りた

    朝井リョウ『正欲』 「多様性」というおめでたさ|好書好日
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    orzie 2022/09/19
  • 鶴見済さん「人間関係を半分降りる」インタビュー 「距離が近い」はいい関係か? 既存の価値観疑い、生きづらさを解消|好書好日

    鶴見済(つるみ・わたる) 1964年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。複数の会社勤務を経て、90年代はじめにフリーライターに。93年『完全自殺マニュアル』は社会現象となり、累計で120万部超。その他の著書に『0円で生きる』『人格改造マニュアル』『檻のなかのダンス』など。つながりづくりの場「不適応者の居場所」を主宰。 ブログ 公式ツイッター 人間は醜いから、離れてつながる ――新刊『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』では「人間には醜い面があるから、少し離れてつながろう」と提案しています。 これまで生きてきた中で一番悩んだのはなんだっただろう? と振り返ってみると、自分は人間関係のことでした。特に大変だったのが高校生の頃と会社に入ったばかりの頃。高校生の時は、関係が固定化されていて狭い場所に人が密集する学校空間で、対人恐怖症(社交不安症)というか、人の目を気にし過ぎてしまう視

    鶴見済さん「人間関係を半分降りる」インタビュー 「距離が近い」はいい関係か? 既存の価値観疑い、生きづらさを解消|好書好日
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    orzie 2022/09/19
  • 上田啓太さん「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」インタビュー いつでもビール飲めるぜ、からの |好書好日

    上田啓太(うえだ・けいた)ライター 1984年、石川県生まれ。京都大学工学部卒業。2010年、ブログ「真顔日記」開設。累計1000万PV(ページビュー)を超す人気ブログに。「オモコロ」「文春オンライン」「cakes」「GINZA」など多媒体で執筆。書は初の単行。 1000日からが衝撃的 ――今年上半期で最も衝撃を受けた1冊です。正直に申し上げて、メンタルを抉(えぐ)られました。最初にのタイトルを見た時に感じた印象から、読後感が180度変わりました。上田さんは当初、「このを書き終えたら死ぬ」と思っていたそうですね。でも、今は「(新たに)始めるための」だとブログに書いておられ、「ああ、ご人は正気を保っている」と、ひとまず安堵しました。反響を呼んでいますが、読者の声は届いていますか。 いろいろと届いてはおります。の前半・後半、どっちに反応するかで、パキッと分かれているな、という印象

    上田啓太さん「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」インタビュー いつでもビール飲めるぜ、からの |好書好日
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    orzie 2022/07/17
  • 荒木飛呂彦「ジョジョリオン」が完結 奇々怪々な描写・超越合戦、完全な異世界 |好書好日

    荒木飛呂彦の『ジョジョリオン』が完結しました。足かけ11年の連載で、全27巻。『ジョジョの奇妙な冒険』の第8部で、シリーズ中最大の長編になりました。前7部にも増して、類を絶するアクロバティックな画風で、複雑怪奇な冒険談をくり広げています。 舞台は、東日大震災後の仙台市内と思われる杜王町(もりおうちょう)。震災で地面に帯状の土地が隆起します。この土地には、『ジョジョ』シリーズで「スタンド」と呼ばれる、人間の超絶的な能力をひき出す秘密があるようなのです。 この土地のなかから、記憶を失ったひとりの青年が発見され、杜王町の名家でフルーツ専門店を営む東方(ひがしかた)家にひき取られ、東方定助(じょうすけ)と名づけられます。 『ジョジョリオン』の前半は、主にこの東方定助の正体が何かという謎をめぐって展開します。このミステリーに、さまざまなスタンド能力をもつ登場人物が次々に絡み、多彩な過去の因縁が暴か

    荒木飛呂彦「ジョジョリオン」が完結 奇々怪々な描写・超越合戦、完全な異世界 |好書好日
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    orzie 2022/07/17
  • 伊藤俊一「荘園」 単純化排した画期的な通史|好書好日

    史の授業で「荘園」を教えるのが一番難しい……。これは、高校の先生方からしばしば発せられるご意見である。 墾田永年私財法で生まれた、貴族や寺社による大土地所有の形態、などと教科書では簡単に説明されているが、そもそも荘園の規模や構造は地域によって多種多様、時代で性格も大きく異なる。しかも、荘園が貴族等の完全な私有地かと言えば、一方で公的・国家的な役割ももつので、より話は複雑になる。とはいえ、古代・中世の基幹的な土地制度なので、これが理解できないと日史は理解できない。実に厄介な代物なのだ。 従来、この分野では、永原慶二『荘園』(吉川弘文館)が良書とされてきたが、書はそれを更新する久々の格的な荘園制通史である。書の画期的な点は、主に二点ある。一点は、最新科学を踏まえて、気候変動から荘園制の性格の転変を説明している点。これにより、図式的な生産力発展説に拠(よ)らず、飢饉(ききん)や災害を

    伊藤俊一「荘園」 単純化排した画期的な通史|好書好日
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    orzie 2022/06/04
  • スノーボードの魅力 自由に滑れる、横乗りだから 法政大学兼任講師・文筆家・田嶋リサ|好書好日

    スノーボードには「若者のスポーツ」というイメージがあるだろう。しかしゲレンデの休憩所を見渡せば、年齢層は幅広い。 ミステリー作家の東野圭吾氏は、44歳でスノーボードを始めた。エッセー集『ちゃれんじ?』には、氏がガーラ湯沢スキー場で初挑戦した2002年から約2年間の奮闘がつづられている。「死にものぐるいで原稿を仕上げ、まだ暗いうちに家を出て、足がぱんぱんになるまで滑っている」人気作家に周囲は訊(き)く。「スノーボードってそんなに面白いんですか」。氏は断言する。「私を夢中にさせているのは、上達、ということだと思う」。おっさんスノーボーダーを自称し、中年からの挑戦に意義を見いだす。今では自腹で賞金を出す大会を開催するほどの筋金入り愛好家だ。 60年代の米国発 スノーボードの歴史は1960年代に始まった。米国ミシガン州に住む人物が、幼い娘たちのために子供用の短いスキー板を横に2並べて固定し、雪の

    スノーボードの魅力 自由に滑れる、横乗りだから 法政大学兼任講師・文筆家・田嶋リサ|好書好日
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    orzie 2022/03/08
  • なぜウクライナか ロシアが侵す、宗教の断層線 神奈川大学特別招聘教授・下斗米伸夫|好書好日

    ロシア軍が24日、ウクライナに侵攻した。首都キエフなど各地を攻撃している。四半世紀前、米クリントン政権時代に始まったNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大問題は、最悪の結果を生みつつある。 同盟拡大に警告 米国内の論調は一枚岩ではなかった。2014年、ウクライナで、NATO加盟推進派が右派民族勢力と組んで治安部隊と衝突し、ヤヌコビッチ大統領が亡命するマイダン革命が起きた。当時のロシア大使マイケル・マクフォール氏ら早期加盟派は、プーチン大統領を批判する(『冷たい戦争から熱い平和へ』上・下、松島芳彦訳、白水社・各3960円)。他方、ソ連崩壊期の大使ジャック・マトロック氏や、ロシア大使経験のあるウィリアム・バーンズ中央情報局長官は慎重論を唱えていた。 同盟拡大はロシアを挑発すると警告したのは、ソ連代理大使も務めた晩年のジョージ・ケナン氏だ。プーチンにはソ連を再建する意図はない、とクリントンのブレ

    なぜウクライナか ロシアが侵す、宗教の断層線 神奈川大学特別招聘教授・下斗米伸夫|好書好日
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    orzie 2022/03/08
  • 「しまっちゃうおじさん」誕生秘話 「ぼのぼの」作者いがらしみきおさんインタビュー|好書好日

    文:吉野太一郎 画像提供:いがらしみきおさん、竹書房 いがらしみきお漫画家 1955年、宮城県生まれ。24歳で漫画家デビュー。1986年に「ぼのぼの」連載開始。88年に第12回講談社漫画賞受賞。2019年に漫画家生活40周年を迎えた。「ぼのぼの」は単行45巻のほか、映画化2回、アニメシリーズ化2回。ぼのぼの絵『しまっちゃうおじさんのこと』などもある。その他の作品に「ネ暗トピア」「忍ペンまん丸」「誰でもないところからの眺め」「かむろば村へ」「羊の木」(作画)、「I【アイ】」など多数。 どんどん自分のイメージから離れていった ――ぼのぼのや森の動物たちの幼少期を描いたスピンアウト「ぼのちゃん」シリーズの完結編に「しまっちゃうおじさん」の誕生秘話を選んだのはなぜですか? 「ぼのちゃん」という話は結局、編のぼのぼのの話と完全にはつながっていなくて、ある程度パラレルワールドの世界ではあります。

    「しまっちゃうおじさん」誕生秘話 「ぼのぼの」作者いがらしみきおさんインタビュー|好書好日
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    orzie 2022/03/08
  • 「紛争でしたら八田まで」田素弘さんインタビュー 「知性」と「地政」で紛争解決するユニークなヒロイン|好書好日

    文:吉川明子 写真:斉藤順子 田素弘(でん・もとひろ)漫画家 1976年生まれ。東京都出身。アパレル、広告、webデザイン・ディレクション業を経て30代後半で脱サラ。『定時退社でライフルシュート』で「第1回THE GATE」一色まこと賞受賞。初連載『紛争でしたら八田まで』を43歳で開始。 半年間のイギリス滞在が影響 世界を股にかけて活躍する主人公といえば、漫画では『ゴルゴ13』のデューク東郷、『MASTERキートン』の平賀=キートン・太一、映画では「007」シリーズのジェームズ・ボンドと男性が主流だ。しかし、『紛争でしたら八田まで』の主人公・八田百合はサラサラのロングストレートにメガネとミニスカート姿が定番の女性。職業は地政学コンサルタントで、言語、文化歴史、宗教、政治、経済、軍事とあらゆることを頭に詰め込んで依頼に臨むが、どこに行っても浮きまくりで“ビッチ”扱いされてしまう、という異色

    「紛争でしたら八田まで」田素弘さんインタビュー 「知性」と「地政」で紛争解決するユニークなヒロイン|好書好日
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    orzie 2022/03/08
  • 差別社会 若者を絶望させた 見田宗介「まなざしの地獄」|好書好日

    写真・郭允 見田宗介(みた・むねすけ)社会学者 1937年生まれ。東京大学名誉教授。自由で持続可能な社会の可能性を理論的に提示した『現代社会の理論』や、真木悠介名義の『気流の鳴る音』などで知られる。人間の解放や幸福を希求する感性と透徹した論理性が共存する独特の著作で多くのファンを持つ。朝日新聞で80年代に連載した「論壇時評」も注目を集めた。 ちょっと変わった経緯をたどった論文です。元々は1973年に雑誌「展望」に掲載されて、少数の若い読者の強い共感だけがあるという状態が続いていました。表題作として単行になったのは35年後、2008年です。それを機に初めて広く読まれるようになりました。 1969年、市民4人を射殺した連続射殺犯として、19歳の少年「N・N」が逮捕されます。永山則夫さん(元死刑囚=97年執行)です。ぼくが衝撃を受けたのは71年、彼の手記『無知の涙』を読んだときでした。 N・N

    差別社会 若者を絶望させた 見田宗介「まなざしの地獄」|好書好日
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    orzie 2020/10/25
  • 「明日から使える死亡フラグ図鑑」 生存率を上げられるかも!?|好書好日

    10月20日は「世界統計の日」。公的統計の意義を理解してもらうことを目的に、国連によって制定された記念日だそうです(ちなみに日独自の「統計の日」は10月18日なんだとか)。ちょうど5年に一度の国勢調査の締め切りも迫り来るなか、感覚的な統計で「あるある」の共感を呼ぶ「明日から使える死亡フラグ図鑑」が話題となっています。 書は、映画やドラマ、小説などの作品に登場する“死亡フラグ”を1コマ漫画で紹介する図鑑。イラストレーターの茶んたさんが趣味Twitterに投稿していたものに描き下ろしを加えて書籍化したものです。「こういう言動をすると死亡しがち」という死亡フラグを、アクション編、サスペンス編、ホラー編などのジャンル別に分類。選りすぐりの死亡フラグが集められています。 例えば、ホラー映画やゾンビ映画で、古い洋館に避難したり、スクールカースト上位のカップルがイチャイチャしたりするのは、十八番の

    「明日から使える死亡フラグ図鑑」 生存率を上げられるかも!?|好書好日
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    orzie 2020/10/25
  • コラム別に読む : 和田彩花さん(スマイレージ)と読む『古寺巡礼』  | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    和田彩花(あやか)さん(アイドルグループ「スマイレージ」) 1994年生まれ。新曲「ええか!?/『良(い)い奴』」が18日発売。現在ライブツアー中。=西田裕樹撮影 ■仏像鑑賞、新鮮な気持ちで 『古寺巡礼』  [著]和辻哲郎(岩波文庫・840円) 高校3年になるときに、学校の先生から頂いたのが読むきっかけです。大学受験で日の美術や歴史を勉強する必要があったので、仕事の合間にこので勉強しなさい、と言われました。 最初は仏像は全部同じ顔に見えるし、難しいと思っていました。このも難しかったんですが、仏像や建物がまるで生きているかのように書いてあって、読んでいるうちに、そんなふうに見えるのかと興味がわいてきました。 著者が若いときに書いたで、の最初には「書きなおそうといく度か考えた」とあります。でも仏像を見たときの新鮮な気持ちが伝わってくる。その気持ちが初心者の私にはわかりやすかった。 そ

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  • 本の記事 : 日航機事故遺族、作家提訴の構え 「手記と表現酷似」 - 佐々木学 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

  • 鈴木健「なめらかな社会とその敵」書評 社会を変革する遠大な思考実験|好書好日

    なめらかな社会とその敵 PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論 著者:鈴木 健 出版社:勁草書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人たる評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい通貨システム! しかもお金の意味すら変え、社会自体の変革まで射程に入れる遠大さだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりを保ち、様々な関係性の途切れない世界。現代の金銭取引はそれを荒っぽく分断する。投票も白か黒かの粗雑な選択を迫る。だがインターネットはまったくちがうお金や投票を実現する。個々の取引は投資として影響を持ち続ける。一票を多くに分割して重み付けができる。書はそうした仕組みを実際に構築して実証する。おかげでそれがもたらす壁なき世界

    鈴木健「なめらかな社会とその敵」書評 社会を変革する遠大な思考実験|好書好日
  • 「僕のお父さんは東電の社員です」書評 根源を掘り起こす小学生の問いかけ|好書好日

    僕のお父さんは東電の社員です 小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味 著者:毎日小学生新聞 出版社:現代書館 ジャンル:社会・時事・政治・行政 「僕のお父さんは東電の社員です」―小中学生たちの白熱議論! 3・11と働くことの意味 [編]毎日小学生新聞 [著]森達也 「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。」 そんな書き出しの手紙が、毎日小学生新聞の編集部に届いた。送り主は小学6年生のゆうだい君。彼は、元毎日新聞論説委員の北村龍行が書いた「東電は人々のことを考えているか」という文章に反論し、「読んでみて、無責任だ、と思いました」と綴(つづ)った。 ゆうだい君は言う。原発を造ったのは、確かに東電である。しかし、そのきっかけをつくったのは「みんな」ではないのか。この「みんな」には、自分も、あなたも含まれる。だから、東電だけのせいにするのは、無責任なのではないか。原発は「夜遅くまでス

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  • 【レビュー・書評】津波と原発 [著]佐野眞一 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    津波と原発 [著]佐野眞一[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)[掲載]2011年7月3日著者:佐野 眞一  出版社:講談社 価格:¥ 1,575 ■胸にい込む被害者たちの肉声 ニュース一段落して関連並ぶ――大事件後の常であるが、東日大震災もまたそのような時期を迎えている。腕力ある書き手・佐野眞一の著ということで手に取った。駆け足ながら現地を歩き、論考を展開しているが、まず胸にい込んでくるのは被害者たちの肉声である。 福島第一原発にほど近い区域では家畜類の殺処分が伝えられたが、多くの牛たちは依然生きている。 「元気な牛を殺す資格は誰にもねえ。平気で命を見捨てる。それは同じ生き物として恥ずかしくねえか」 「ここへ来て、悲しそうな牛の目を見てみろ。言いたいのはそれだけだ」 東電にいま一番言いたいことは何かという問いに対する、酪農家たちの臓腑(ぞうふ)をえぐる言葉である。 後半部では「

  • コミック・ブレーク (広告特集) : 〈私のコミック履歴書〉俳優 神木隆之介さん - 朝日新聞社広告局 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■シャルルは男の中の男 ――最初にハマったマンガは何でしたか。 神木 高校1年生のとき『神のみぞ知るセカイ』を読んで以来、格的にマンガやライトノベルを読むようになりました。 ――どんなところが面白かったんでしょう? 神木 恋愛シミュレーションゲームが得意な主人公が現実の世界で女の子に告白する物語なんですけど、ケータイやメールではなく、最後は必ず直接想いを伝えるところが素敵だと思います。主人公はもともとゲームが好きな男の子だし、一見デジタルなイメージがあるんですけど、実はすごくアナログで。人の気持ちを尊重している作品です。 ――なるほど。 神木 他に好きな作品は『バカとテストと召喚獣(しょうかんじゅう)』や『涼宮ハルヒの憂(ゆううつ)』。少女マンガでは『悩殺ジャンキー』が面白いです。ラブコメとかSFっぽいのも好きですが、高校生の自分としては、いちばん気持ちが重ねられるジャンルなので基

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  • 【レビュー・書評】:花のズボラ飯 [原作]久住昌之[漫画]水沢悦子   - コミックガイド - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    花のズボラ飯 [原作]久住昌之[漫画]水沢悦子  [評者]南信長(マンガ解説者)[掲載]2011年1月16日著者:久住 昌之・水沢 悦子  出版社:秋田書店 価格:¥ 945 ■超テキトー料理に身もだえ よく「一人の事は味気ない」なんて言うけれど、その分、誰にも気兼ねしなくていい自由さもある。その自由を満喫しているのが書の主人公・駒沢花(30)だ。 夫が単身赴任中で一人暮らしの花は、かなりの面倒くさがり。掃除洗濯も、やるときはやるけど、やらないときは全然やらない。作る料理も超テキトーで、鮭(さけ)フレークとマヨネーズを和(あ)えたものをパンに塗って焼くだけとか、キムチと卵かけごはんを炒めた簡単キムチャーハンとか、インスタントラーメンの野菜炒めのせとか、まるで貧乏学生のようである。 しかし、散らかり放題の部屋で一人、それらの〈ズボラ飯〉をす彼女にわびしさはない。〈ごはんが無いチンゲー

    orzie
    orzie 2011/01/23
  • asahi.com: 20世紀少年 [著]浦沢直樹、スタジオ・ナッツ - コミックガイド - BOOK

    長編SFミステリーとして七年にわたって人気を集めてきた注目作の連載が、先月ついに終局を迎えた。 作の主人公は、ある殺人事件の真相を追ううちに、背後に謎の教団の世界征服計画があることを知る。だがその内容は、彼自身が子ども時代に遊びで書いた「世界の破滅とそれを救うヒーロー」の物語そのものだった。その子どもじみた計画が当に実行に移され、ばかばかしくも戯画的な光景が世界中をおおう中、人類は破滅へ向かって突き進んでいく——。 サブカルチャー的なものが、すっかり世の中を支配してしまった後の世界を作は描く。現実がすでにそうなっているという認識に立ち、ポストオウムの時代をサブカルチャー自身の側から問い直そうとしているのだ。一九九五年以来のこの宿題は、解決されないまま、今や状況はさらに加速しつつある。作は、それに正面から向き合いつづけた数少ないまんがのひとつだ。 まんがという戯画表現は、戯画化してし

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