1時間54分 これからは“公立の時代”になる。それが本書を読み終えてまず感じたことだった。 本書は日本経済新聞記者による公立中高一貫校への合格体験記だ。単なる個人的な体験にとどまらず、今を生きる親として“教育に何を求めるか”という判断が詰まっている。公立中高一貫校の実情を知るには最上の一冊だろう。 公立中高一貫校とは、急速に増えつつある新タイプの公立だ。以前は中高一貫といったら私立の専売特許だったが、1999年から公立の中高一貫校が全国に続々と作られている。首都圏ではとくに人気が高く、東京都では現在開校中の5校の倍率が7~11倍、埼玉県の浦和中学は25倍、千葉県の稲毛中学は20倍だ(2007年)。 これまでは完全に“私立の時代”だった。過去40年間、公立中学から公立高校へ行くコースは着々と大学進学実績を落とし、それが父兄の評価となっていった。こと首都圏に限っては、子どもの大学進学を真剣に考