ブックマーク / onboumaru.com (10)

  • 葛飾北斎 ―画狂老人は一処に安住せず― | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    KATSUSHIKA HOKUSAI 転居93回、改号30回。北斎は当に奇人だったのか 欧米での信仰的とも言える評価に反して、日での北斎評はまず「奇人」である。 そのイメージは、飯島虚心の著した明治期の評伝「葛飾北斎伝」によるところが大きい。 序文にはっきりと「画工北斎畸人也」とあり、また家の中はごみまみれで、ために93回も転居したとある。 どうやら、絵を描くこと以外はまるで無関心だったようだ。 無愛想で人付き合いが悪く、金には無頓着だった。 掛取りが来ると、机の上に置きっ放しだった画工料を、包みのままどんと投げてよこしたという。 それでもっていかないといけないから、一説では己の画号を弟子に譲って金に変えた。 それが30回という異常な改号の多さにつながったともいう。 (※クリックで拡大します) 晩年の弟子露木為一による「北斎仮宅之図」 虚心が露木から提供されたもの (左の女性は娘のお

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    ot_nail
    ot_nail 2019/07/01
  • 奥州安達原 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 京の都のさる公卿のお屋敷に。 名を岩手の局ト申す女がおりましたが。 この者は姫君の乳母でございまして。 我が仕える姫君を、それはそれは大事に育てておりました。 ところが、この姫君ト申しますのが。 生まれつき病に冒されておりまして。 五歳になっても一向にものを話しません。 岩手は姫君が不憫で不憫で仕方がない。 そこである時、易者にこれを打ち明けますト。 いつの世も易者ト申しますものは。 無責任な輩ばかりでございますので。 「まだ女の腹の中におるままの、赤子の生き肝をわせるより他にない」 ナドと吹き込んだ。 岩手は姫君が可愛くてなりませんので。 どうしても赤子の生き肝を手に入れたい。 その思いにすっかり取り憑かれてしまいまして。 生まれたばかりの娘を人に預け。 首には赤いお守り袋を掛けてやる。 「母岩手」ト書かれた形見の品。 「かかさまがお

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    ot_nail 2019/06/15
  • 九十九の指と一つの首 指鬘外道 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 天竺の話でございます。 舎衛国(しゃえいこく)に、さる高名な婆羅門(バラモン)がおりました。 婆羅門ト申すは、かの国古来の祭祀者でございまして。 かの国では人は生まれながらに四つの階層に分かれておりますが。 その最上位が、この婆羅門と呼ばれる者たちでございます。 王侯貴族でさえ、その下位に甘んじているトいう。 もっとも、釈尊は婆羅門ナドどこ吹く風でございましたので。 仏家ではこれを外道(げどう)ト称します。 この高名な婆羅門は、三経に通じ五典を究めた人物で。 国の政事から種々様々な学問に至るまで。 この者に学ぶ者は実に五百人を数えておりました。 さて、この婆羅門には寵愛する優れた弟子がおりまして。 一名を鴦掘摩(おうくつま)ト申しましたが。 かの国の言葉では「アングリマーラ」ト発します。 何だか、ボンヤリと間の抜けたような名前でございますが。 その意味するところは「

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    ot_nail 2018/03/18
  • 荘園の森の艶やかな童女 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 唐の国の話でございます。 只今では節分の日になりますト。 豆を撒いて鬼を追い払ったりナド致します。 ところで、この風俗の大元はト申しますト。 「追儺(ついな)」ト申す新年の宮中儀礼で。 古くに唐土から伝わったのだそうでございます。 この時、鬼を追い払う役を「方相氏(ほうそうし)」トカ申します。 熊の毛皮を頭から被り。 四つの目玉のある仮面を着け。 黒い衣に、朱い裳を履き。 手には矛と盾とを握りしめている。 威容を持って鬼を追い払おうト申すのでしょうが。 ――これでは、どちらが鬼だか分かりませんナ。 事実、我々が今日思い浮かべる鬼の姿は。 この方相氏が元になっているトカ申します。 さて、お話は唐の開成年間のこと。 洛陽に盧涵(ろかん)ト申す者がございまして。 この者は年は若く、見目麗しく。 おまけに財力にも恵まれている。 実にイヤらしい男でございます。 金と暇とを持て

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    ot_nail 2018/02/22
  • 姿見の池と一葉の松 恋ヶ窪の由来 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 武蔵国の国分寺のほど近くに。 恋ヶ窪ト申す地がございます。 かの源頼朝公が、鎌倉に拠を構えておりましたころ。 ここに上州と鎌倉を結ぶ街道が通っておりました。 その頃ここはその鎌倉上道の宿場町でございまして。 往時は騎馬の武者や旅の商人などで賑わっており。 茶屋や遊女屋が軒を連ねておりました。 この地には、池がひとつございまして。 付近の湧き水を集めて、深々と湛えておりました。 水は清く、その表は鏡のようにぴんと張り詰めている。 青い空と白い雲が、さながら地を這うように見えたトいう。 その頃は手鏡なんぞあまり身近ではございませんが。 この宿場町には明鏡止水トモ讃えるべき池がある。 畔にはいつでも水を覗き込む遊女たちの姿があり。 このことから、姿見の池ト名がついたのだト申します。 さて、この宿場町の賑わいに。 華を添えた傾城たちのその中に。 名を夙太夫(あさづまだゆ

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    ot_nail 2018/02/05
  • 蛇女房 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 木曽の山中、人里離れた静かな森に。 木こりが一人住まっておりまして。 枝木を伐って暮らしを立てているトいう。 貧しい山男でございましたが。 与市ト申すこの者は、三十路を過ぎてなお独り身で。 ト申しますのも、早くに二親に死なれてしまい。 父親の商いを、見よう見まねでやってまいりましたので。 もう十幾年も、今日うのに精一杯で。 嫁取りはおろか、人付き合いもろくにしたことがない。 今日も今日とて、形見のナタを腰にぶら下げまして。 通い慣れた獣道を、奥へ奥へト歩み進んで行きますト。 突然、目の前にぱっと広がりますのは。 深い谷ト遠くの山々まで一望する。 崖の上からの景色でございます。 近頃、与市は毎日ここまでやってまいり。 日暮れまでずっと木を伐っておりました。 ここでナタをふるいますト。 カーンカーントいう甲高い音が。 谷底に大きく響きます。 するト、寂しく暮らす与市に

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    ot_nail 2017/12/26
  • 江戸怪談より 「暗峠 姥の首の火」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 河内国は暗峠(くらがりとうげ)。 峠を越えたその麓の村。 平岡の里ト申す地に。 娘が一人おりまして。 山家の花じゃ、今小町じゃト。 土地の小唄に謡われるほどに。 器量良しで知られておりましたが。 山の神は女だト。 山国ではよく申します。 娘のあまりの美しさト。 男たちからの評判に。 神も妬みましたかどうか。 乃至は「二物を与えず」か。 この美しい娘の生涯は。 それは哀れなものでございました。 年十六の娘盛り。 数多の男が娘を巡り。 互いに争い合う中で。 村のトある若い衆が。 娘をついに射止めました。 新郎新婦が盃を交わす。 袖にされた男たちは口惜しさに。 横目でやけ酒をあおっては。 慰めあっておりましたが。 ナント、この幸せ者の新郎が。 ひと月ト待たずに死んでしまった。 するト、慰めあっていた男たちが。 再び仇同士ト相成りまして。 娘を巡って争い合う。 そうして、ま

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    ot_nail 2017/12/23
  • 生き埋めの山芋が人を喰った話 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 陸奥国の介(すけ。次官)を務める者がございまして。 通称を大夫の介と呼ばれておりましたが。 この者は年を取ってから後を娶りました。 十五の娘を連れ子にした、いわく有りげな女でございます。 古今東西、地位ある年寄りに擦り寄る女に、 ろくな者がいたためしはございませんナ。 この者の後もまた、ご多分に漏れませんでして。 ハナから目的は金、金、金でございます。 常日頃から気弱そうな家来を物で釣って手懐けている。 そうして、ひたすらに時機を待っているのでございました。 ある時、大夫の介が長らく屋敷を留守にすることになった。 後はさっそく、この石麿ト申す家来を呼び寄せまして。 「お前のために前々から良い子がいないものか探していたのだが、とうとう見つけたよ。お前さえ気に入れば、今夜夫婦にさせてやるつもりだが、どうだえ」 ふと見やるト、その陰でもじ

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    ot_nail 2017/12/19
  • 落語の怖い話より 「怪談乳房榎(二)四谷十二社滝の亡霊」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    「なに、誰も聞いてなどおらぬ。お前のお陰で邪魔者を消して、首尾よく跡を継ぐことが出来た」 「わ、わしはただ――」 「いいのだ。そのことを蒸し返そうと言うのではない。実は、おきせがとうとう我が胤を宿してな」 「ご新造が」 「そうだ。そこで、お前に折り入って頼みがある」 「な、なんだね」 身を乗り出してくる浪江の顔を、正介は息を呑んで見返した。 「どうも真与太郎の目つきが気にわない。あの目はいつか俺を親の仇だなどとつけ狙う目だ」 「ば、馬鹿を言っちゃあいけねえ。二つやそこらの乳飲み子に、目つきも何もありましねえ」 「お前、あれを殺せるだろう」 途端に正介の胸がドッと高鳴った。 「お、お前様。いけましねえ。いけましねえ。あんな頑是ない坊ちゃまを――」 「なんだ。嫌なのか。ははあ、なるほど。お前、去年の落合の件では余儀なく加担したが、心ではまだ元の主人への忠義があるものと見える。さては、いつか俺

    落語の怖い話より 「怪談乳房榎(二)四谷十二社滝の亡霊」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    ot_nail 2017/11/12
  • 落語の怖い話より 「怪談乳房榎(一)落合の蛍狩り」 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 馬場で知られます高田の砂利場村に。 大鏡山南蔵院なる寺院がございまして。 これはその天井に墨絵で雌龍雄龍(めりゅうおりゅう)を描いたという、 絵師菱川重信の話でございます。 重信は年三十七、元は秋元越中守の御家中で。 名を間与島伊惣次(まよじま いそうじ)ト申す武士でございましたが。 生来、絵が好きなものですから、じきに堅苦しい勤めが嫌になる。 みずから暇を申し出まして、柳島の新宅に引き籠もりますト。 爾後、絵ばかり描いて暮らすようになったト申します。 は年二十四、名をおきせト申しまして。 これが大変な美人でございます。 役者の瀬川路考演ずる美女に似ているト。 誰言うとなく「柳島路考」ト呼ばれるほどで。 さて、この重信に、ある時お弟子が一人できました。 名を磯貝浪江(いそがい なみえ)ト申す、年の頃二十八、九の浪人で。 鼻筋が通って色は浅黒く、苦みばしった佳い男で

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    ot_nail 2017/11/11
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