栃の葉 春に萌え出た葉が　濃い緑に変わる。 花の後に　可愛い実ができている木もある。 重そうに枝がしなるほどに茂った木々。 夫が　それをハサミとノコギリで整える。 私は　形のいい栃の葉を 水を張った　縁が欠けた白の鉢に 数枚　浸した。 その鉢の水に　夕方の空や　木の枝が映り 水底を眺めるような　不思議な感じがする。 濃い緑の　葉脈の際立つ　繋がった五枚の葉。 枯れて　茶色になっても美しい葉だ。

去年の暮れ　雪の降る前に 赤かぶ　白いかぶのヘタを沢山埋めた。 やがて葉が出て　それを摘み 味噌汁に入れたり　おひたしにしたり。 雪が降り　春が来て そのカブラから 柔らかな緑の葉が出て そして　黄色の花が次々と咲いた。 高く伸びた　花の茎。 意地悪な春の嵐に倒れ 土に横たわったまま。 ポキポキと手折り ポテトサラダの彩りにしよう。 電子レンジで柔らかくなったポテトと 塩揉みした玉ねぎをドレッシングで和え 湯がいたブロッコリーを上に。 そして　黄色の花。 惚れ惚れする様な　サラダになった。

２３日　友達夫婦が昼過ぎにやって来た。 自称絶賛好評のカレー　コールスローサラダ それを友達が「持っていく」と言った。 「おやつのケーキをお願いします」 の要望に応えて　バナナケーキを焼いた。 バナナの甘みと香り　しっとり感が とても美味しい簡単ケーキだ。 焼き上がりはこんがりと黄金色。 熱いうちに　杏ジャムとスコッチの液を 刷毛でたっぷりと塗る。 「ああ　いい香り」 まろやか絶賛カレーで膨らんだお腹でも 甘いものは別腹。 濃いめに淹れたコーヒーと バナナケーキの一切れを ペロリと楽しんだ。 話は弾みに弾み 深夜の１１時過ぎに　お開きとした。 暗い山道を 京都に向かって走り去った車。 その赤いテールランプが 角を曲がるのを見届け　小屋の中に戻った。