ブックマーク / wabisuketubaki.hatenablog.com (12)

  • 年の瀬ならではの光景 - よろしゅうおあがり

    夏休みの宿題とか課題とか、何でもそう、切羽詰ってやっと着手するタチだ。 恥ずかしながら年賀状だっていつもぎりぎり。十二月の二十四、五日にレイアウトを作り、早々に投函する人を横目に二十六日に購入、持ち帰って印刷、二十七日に住所を書けたものから買い物に出たついでにポストへ送り出していく。 来年は寅年、例年のイラストをやめて、我が家の雉トラの写真をばーんと年賀状に採用した。出来上がったハガキを、 「ほおら、お前のアップだよ~ん」 との鼻先に差し出し、予想通りの怪訝な表情を誘う。 郵便局の周りには、ハザードランプを点けた車が何台も止まり、自転車も置かれ、人が入れ替わり立ち代り訪れる。この粛々とした賑わいに年の瀬を感じる。もう幾つ寝るとお正月・・・ ♪ 短いけれど心を打つ。朗読ですがよろしければ全文どうぞ ♪ 雨ニモマケズ - よろしゅうおあがり - Radiotalk(ラジオトーク)

    年の瀬ならではの光景 - よろしゅうおあがり
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    ot_nail 2021/12/30
  • コロナじゃないよ - よろしゅうおあがり

    夏から秋にかけての新型コロナ第五波では、夕方のニュースで報じられる感染者数に怯える毎日だった。 緊急事態宣言下で、多くの人が外出を控え、様々な業種が時短営業を余儀なくされた。開けていても売り上げが見込めないと、休業に踏み切ったお店も少なくなかった。 シャッターが下りたままになっていて、気にかかるお店が、私には三つあった。 一つは、ソバメシ屋さん。繁華街にあって四人がけテーブル三つという小さなお店だが、味だけでなく、女将さんの穏やかで温かい人柄に惹かれ、リピーターが絶えない。私たち夫婦も結婚前から時折足を運んで、かれこれ三十年になる。先日訪れたが、『しばらく休業いたします』の張り紙。そろそろ営業再開しただろうか。 二つ目は、うさぎ専門店。家からスクーターで五分とかからない住宅街の只中にある、年季の入った小さなお店。我が家のうさぎが一昨年亡くなるまで、牧草やフードを買っていた。用がなくなってこ

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    ot_nail 2021/12/17
  • 口の堅い夫、口の軽い妻 - よろしゅうおあがり

    先月、夫の職場の後輩の披露宴司会を私がさせて頂いた。依頼を受けたのは春、その際、夫は後輩さんに条件を出した。 謝礼は一切受け取らない、こちらからも祝いは包まない、司会者手配代を浮かせて新生活や新婚旅行に使うこと。 しかし後輩さんはやはり気を使う。まず式のひと月前の打ち合わせにはお洒落なインテリアグッズを下さった。 披露宴当日、「菓子折りですから」と大きな焼き菓子の箱を下さった。帰って開けると、箱の中に『お車代』が入ってて! さらに翌日、カタログギフトが配達された。 ちょっとちょっと約束違うや~~んと、慌ててライン。お礼と、司会者を会場で手配したらこんなに気を使わなくて済むのに気の毒であること、それから当日頂いたお菓子のことを 『時代劇で悪代官が悪徳商人から小判を底に隠した菓子箱を受け取って「重たい菓子よのう、越前屋」っていうまさにアレやん!』 と。 これを読んでお二人、大爆笑したとか。 そ

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    ot_nail 2021/12/10
  • 盗み見ていた転校生 - よろしゅうおあがり

    電気シェーバーの刃が傷んでいるらしく、剃った後ひりひりする、と夫が言うので、昨日私が電気屋さんで買ってきて交換した。 今朝、洗面台で「全然違うわ、滑らか」と夫。 私は、対応してくれた店員さんが親切だったことを話して。 「その人ね、ほら、中学の同級生だった林君をしゅっと細くして、優しくしたみたいな感じ。ふとっちょの林君、覚えてる?」 「ああ。でも、林は大学生になってがりがりに痩せたけどね」 「そなの?! 林君て帰国子女の転校生だったのよね。私達の町って田舎だから、海外からの転校生が珍しくて」 ところで、夫も、同じクラスになったのは中学時代だが、小学六年生の時にやってきた転校生だった。 「アナタが転校してきた時も覚えてるわ、私も田舎者だから、転校生が珍しくて。見かけない男子と廊下ですれ違って、あ、よそのクラスの転校生だ、って」 背の高い、色の黒い、上がり目の男子。すると、夫がしみじみと。 「五

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    ot_nail 2021/11/26
  • ブランクの奥に - よろしゅうおあがり

    一ヶ月以上もブログを書けずにいたんだ・・・と自分の小心をしみじみ思う。 春先に夫の後輩に依頼され、この十一月初めの披露宴司会を受けたが、その瞬間からずっと頭の片隅が緊張していた。途中、影アナウンスの仕事はしたが、披露宴司会は五年ぶりだった。ブランクに加え、コロナ禍の披露宴は初めてで。 一ヶ月前に打ち合わせを行うと、いよいよとなってそわそわしてしまって。サボっていた発声と滑舌練習をし、確認と準備をしながら怖くて怖くて。 とうとう当日、開宴してみれば、司会台で喋る私は、以前と変わりない感じで、大きなミスもなく、無事。 体が覚えているというのか。 しかしやはり披露宴中のテンションは普段のわたしとは別人レベルで、夕方から夜に掛けての宴がお披楽喜を迎え、帰宅、疲れている筈なのにちっとも眠くならず、深夜二時までネットのパズルゲームを、鼻歌を口ずさみながら続ける始末。昂った心がなかなか醒めなかったのだろ

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    ot_nail 2021/11/10
  • ちんちくりんは成長の証し - よろしゅうおあがり

    可笑しがるなんて、私はヒドい人間だ、と自覚しつつも笑ってしまう。 駅前で見かける男の子のことなのだ。 私は毎朝夫と駅までスクーターで行き、夫が改札へ向かう後姿を見送る。その間、家族を送ってきた車が何台か停まる。 よく見かける白いワゴン車からは、小学生の男の子が降りてくる。身長170センチくらいありそうな、大人と変わらない体格のその子を、なぜ小学生と断言するか? それは、制服を着ているからだ。二駅先の教育大学付属小学校の、白いカッターシャツの半そでと、グレーの半ズボン。 短か目に刈った頭髪、黒縁の眼鏡、肥満とまではいかないが貫禄のある胴回り。その姿が、どうも私には、裸の大将・山下清画伯か或いは小林亜星演ずる寺内貫太郎を思わせる。それなのに、その寺内貫太郎が窮屈そうな半そで半ズボンというイデタチなのだもの、コントか罰ゲームでもさせられているようで。 制服とはいえ何とかならないものか。 ところで

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    ot_nail 2021/09/30
  • 夫に隠れて - よろしゅうおあがり

    視界の端で蜘蛛が動いた。壁をつたう一センチくらいの。夫を見る。夫は背中を見せて、パソコンのモニターへ向いている。 私は物心つくと既に蜘蛛が気持ち悪くて嫌だった。すると父が言った。 「蜘蛛は、害虫を、お前の嫌いなゴキブリの赤ちゃんもべてくれる益虫なんやで」 誰目線で誰が害虫かという議論はさておき、以来、私は、さすがに好きにはなれないが、家の中で蜘蛛を見かけると心中で『頼んだぞ』と声をかけ、目を逸らし、蜘蛛が箪笥の後ろあたりへいなくなるのを待つようになった。 夫は、虫が平気、むしろ好きだ。蚊以外の、家の中に迷い込んだ虫を外へ逃がす。蜘蛛も私が見過ごそうとすると、 「家の中にいたって餌が少なくて可哀想だ」 と捕まえて、サンダルを履いて裏山の茂みへ逃がしに行く。 しかし私の考えは、こうだ。蜘蛛がいる、ということは、この家の中にゴキブリの赤ちゃんとか餌がある、だから住んでいる、ということだ。 頼ん

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    ot_nail 2021/09/18
  • 夫が名を呼ぶ声にも似て - よろしゅうおあがり

    朝夕涼しい。例年ならまだ残暑が残る頃だが、今年はこのまま秋になるのか。 夫の一ヶ月強の出張という、かつてない夏を経て、毎日繰り返す家事にさえ安らぎを感じられる。 ゴミに出そうと、段ボール箱に伸ばした手が止まる。貼られたままの送り状。この箱は、出張先から夫が持ち物を宅配で送り返したものだった。 送り主に夫の名前、宛先に私の名を書いた夫の文字。それは、夫の不在中にあって、配達員さんから受け取って目にした時、胸をどきりとさせた。 まだケイタイなんてない三十年前の、付き合い始めたばかりの頃に交わした手紙のような、切ない。 しかし、あの頃とは違う。遠い空の下にいる夫、ひとり寝起きする私。それでも私達は繋がっているのだというような、感慨。 剥がした送り状を手帳にはさみ、段ボール箱を畳んだ。 ♪ 短いけれど心を打つ。朗読ですがよろしければ全文どうぞ ♪ 雨ニモマケズ - よろしゅうおあがり - Radi

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    ot_nail 2021/09/12
  • 流れない時間の中を - よろしゅうおあがり

    34日間の出張から夫が帰ってきた。お盆休みを共にし、一昨日から通常営業となった我が家。5時目覚ましで夫のお弁当を詰め、朝茶とシェーバーを枕元へ届け、朝のバナナヨーグルトドリンクを作り、着替えの肌着を並べる、そんな慌しさが嬉しい。 夫不在のこの夏はずっと掴みどころのないものと闘っていたかのようだった。 夫婦二人暮らしの専業主婦がひとりで・・・がいるので旅行は無理だが・・・何時に起き、何をべ、何をして過ごしても自由。贅沢に聞こえるが、実のところ戸惑った。どうしていいか分からないのだもの。 自堕落になるのは怖くて、初日に台所家電を磨いてみたら、清々しかった。すると、翌日も次の日も何かしないといけないような気になって、今日は何をしようか、家の中が片付いていたら夫は喜ぶだろうかとそのことを励みに、半ば強迫観念に囚われて、普段手をつけない場所へ屈み込んだ。 草ぼうぼう枝ぼうぼうの庭で毎日汗だく、

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    ot_nail 2021/08/21
  • わたくしごときが陸上競技に物申す - よろしゅうおあがり

    オリンピック開催の是非はともかく、選手たちの健闘は感動の渦。 そんな中、くだらないコトだとは思うけどどうしても気になったコト。 昨日の3000メートル障害を見て。 ハードル飛んだ着地点の、水たまり、要るか?? ・・・文字通り、水を差してるとしか・・・ ♪ 近頃好きな某CM、コビトの草刈正雄さんが朝の枕元で『雨ニモマケズ』を朗読。 ♪ 私も真似してみました(体サイズは元のまま) よろしければ全文どうぞ ♪ 雨ニモマケズ - よろしゅうおあがり - Radiotalk(ラジオトーク)

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    ot_nail 2021/07/31
  • ビューティフルネーム - よろしゅうおあがり

    一年延期になったものがきっと世界中にあるのだろう。 オリ開会の前日、あるバレエスクールの発表会があった。発表会といっても、トップの生徒は世界へ羽ばたくレベルの高いスクールで、よちよちのベビークラスもあるが、他のバレエ団から客演を呼んで格的な演目が上演される。一年半ごとに行われてきて、来なら昨年の予定だった。 十年ほど前から私は影アナウンスを担当。この数年仕事をしていないが、これだけは関わらせてもらっている。 第四部まで4時間のステージ、数十人の名前を延々読んで行くのだが、この仕事ならではの凄いプレッシャーがある。絶対に名前を間違ってはならない。特に小さなお子さんほど。舞台袖からステージへ出ようとする時に、自分の名前を間違われたら、ガクッとなって、うまく踊れないかもしれない。人だけじゃない、客席で見ているご家族も、ここまでレッスンを続けさせ、支えてきた晴れ舞台で我が子の名前を読み違えら

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    ot_nail 2021/07/24
  • 理由は分からない、けれど、すきなんだ - よろしゅうおあがり

    人見知り引っ込み思案だった私が、32歳を目前のある日、夫に打ち明けた。 「朗読を勉強したいの、学校へ行ってもいい?」 夫は面らっていた。いいけど、いきなり、どうして? 私自身よく分からず、学生時代放送部だったとかそういう経験は一切なく、ただ子供の頃から駅のアナウンスなんかをやたら聴いてしまう子どもだった。 アナウンスの学校へ通い、多少の仕事もでき、体調を理由に辞めて4年になるが、今もって理由は分からず仕舞いだ。 ただこれだけは分かる。好き、なのだ。 先週から音声配信を初め、あの頃の気持ちを味わっている。 ♪ 久々に読んでみました、気が向いて時間があれば聞いてやってください… radiotalk.jp

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    ot_nail 2021/07/21
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