今日は有名なラッセルのパラドックスが起きるメカニズムを考えてみます。 ラッセルのパラドックスは数学の基礎である集合論に対する重要な問題提起となったものですが,ラッセルのパラドックスが起きるメカニズム自体には集合論は関係ないというお話です。 ラッセルのパラドックス ラッセルのパラドックスとは「自分自身を含まない集合全体を考えると矛盾が生じる」というものです。 ラッセルのパラドックス (素朴集合論) 自分自身を要素として含まない集合全体の集合 の存在から矛盾が導かれる。 証明 排中律より, または だが, とすると の定義より となり矛盾, とすると の定義より となり矛盾。いずれにしても矛盾することが示された。 証明終 ラッセルのパラドックスから得られる教訓は「 という形のものを何でもかんでも集合を思うと痛い目を見るぞ!」ということです。集合の扱いを明確に規定しない素朴集合論を数学の基礎とす