錺師ともいう。錺(飾り)を主とする職人。錺とは金属加工技術の鎚起(ついき)(金属板をたたいて造形する)のこと。中世の銀(しろがね)細工の技法を受け継ぎ17世紀の近世になって独立した。居職(いじょく)であり、さらに彫金、細金(ほそがね)細工、鑞(ろう)付け、鍍金(めっき)などの金属表面処理の技法も取り入れ、金属加工技術の総合者となった。工具は鎚起の金床(かなとこ)、金槌(かなづち)、金鋏(かなばさみ)や彫金のたがね、やすりなどであった。製作品は、鎖、指輪、簪(かんざし)、煙管(きせる)などや、箪笥(たんす)、長持(ながもち)など家具の金物、または灯籠(とうろう)、駕籠(かご)、輿(こし)、車などの金具や建築物の家形飾(やかたかざり)などであったが、近代になって、装身具の流行につれて、金銀細工師ともいわれるようになり、首飾り、耳飾り、カフスボタン、宝石箱、たばこケース、コンパクトなどを製作する