2500年前の土砂崩れで秋田県の鳥海山麓に埋まったスギやブナなどの樹木が大量に掘り出され、高級家具などの素材として活用しようとする取り組みがある。同県能代市の製材会社が買い付け、木製品に使用できるよう加工。「埋もれ木」と呼ばれ、黒みを帯びた独特の色合いが「美しい」「渋い」と好評だ。 「塗料を使わずにこんな色が出せることに驚いた」。埋もれ木から切り出した黒光りする木材を前に、秋田杉の加工を長年手掛ける製材会社経営、渡辺美次雄さん(68)が目を輝かせた。 東北大の大山幹成助教(年輪年代学)らによると、樹木が埋没したのは紀元前466年。鳥海山が噴火し、秋田県にかほ市の一帯で大規模な土砂崩れが起きたためという。 酸素が少なく水分が豊富だったため、木の繊維や細胞がほとんど腐敗せずに残っていた。土の中の鉄分を吸収しており、木の断面は切断後数分で酸化し、茶色や黒に変色する。 一帯は埋もれ木が多数残ってい