著者は京都文教大学教授で、臨床心理士であり、気功も実践されています。共著はありますが単独での本は2008年に出ているこの一冊だけのようです。本書の特徴は何よりも「気」にあります。著者にとって非常に実感をともなった体験として存在していながら、錯覚とおなじように<私>を超えては存在しない「気」について考えていくうちに「主観的身体」という表現が生まれたというのです。 しかし、内容を一言でまとめるのは大変むずかしく、いまだに全体像をつかめていません。「まえがき」から、ポイントをひろってみます。「心理として扱っている心の領分の多くの部分は、自我の意識的な努力ではどうすることもできない、生まれもった身体の顔つきや体つきと同じように、もって生まれた自然としかいいようのない部分だ」心理療法のもくろみは、その変わらない基盤としての心と体をはっきりと知ること、そして、そうすることで、現実を"自分のかけがえのな