【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:指定感染症であることによる混乱の可能性」浅香正博 中国の武漢で始まった新型コロナウイルス感染症は中国本土を越えてわが国や韓国にまで波及し、さらに全世界に広がりを見せている。医療従事者の一人として私もわが国での新型コロナウイルス感染の広がりを憂えている。この感染症は無症候性キャリアの存在が明らかになった時点できわめて予防しにくい感染症となった。さらに1月28日、政府が本感染症を「指定感染症」に指定したことにより、医療現場では季節性インフルエンザの診療よりはるかに煩雑なものとなっている。 この感染症の診断はPCR検査によって行われている。PCR検査は感度については良好であるが、鼻咽頭粘膜などの検体採取部にウイルスが存在しない場合、感度をいくら上げても陰性と出る可能性が大きい。そのため検査陽性の場合は感染ありと断定できるが、陰性の場合は信用ができない可能性