アメリカで黒人男性のジョージ・フロイドさんが死亡した事件をきっかけに広がったBLM(Black Lives Matter「黒人の命も大切だ」)。人種差別に抗議する運動は大西洋を越えてイギリスにも広がり、大英帝国の歴史を再評価すべきだという議論にすら発展しています。なぜBLMはイギリスでも「自分ごと」になったのでしょうか。そこには、多様化したイギリス社会のひずみが、新型コロナウイルスの危機の中で表面化した現実があります。(ロンドン支局長 向井麻里) イギリスでの人種差別反対の動きを語る上で欠かせないのが、黒人(Black)、アジア系(Asian)、マイノリティの人種(Minority Ethnic)の頭文字をとったBAMEということばです。カリブ諸国、インド系、バングラデシュ系、イギリス社会にコミュニティをもつさまざまな人種がこのことばに含まれます。「白人のイギリス人以外」とも定義されるBA