嘆かわしいプロセスの結末は、結局グレグジットか 当てにならない新合意の成功、ギリシャの解散総選挙もあり得るが・・・
![嘆かわしいプロセスの結末は、結局グレグジットか 当てにならない新合意の成功、ギリシャの解散総選挙もあり得るが・・・ | JBpress(日本ビジネスプレス)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/12b8c607b7f55f331316159d6d3ca252fcb635db/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fafpbb.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F0%2F1%2F-%2Fimg_010b4c74c1ef3c3111cb6cf6c5cb20ec153914.jpg)
ギリシャの首都アテネの議会前で行われた反欧州連合(EU)デモで、横断幕を掲げる左派の参加者と、議事堂の階段に並ぶ機動隊〔AFPBB News〕 欧州の債権者がギリシャに対して大幅な債務軽減措置を講じないなら参加できない――。国際通貨基金(IMF)はそう語り、ギリシャの新しい救済プログラムから離脱する可能性もあるという強いシグナルを発した。 この動きは、あらゆる債務軽減措置に反対してきたドイツへの圧力を再び強めることになる。 折しも、ドイツ政府が先週末の首脳会議で徹底的に議論された新しい救済プログラムの詳細を交渉することについて、連邦議会から承認を求める準備をしている最中のことだ。 本紙(フィナンシャル・タイムズ)は、週末に欧州連合(EU)当局に送付された計3ページのメモを入手した。この中でIMFは、昨今のギリシャ経済の混乱により同国の債務残高の対国内総生産(GDP)比は今後2年の間に200
我々の多くが当たり前のこととして受け止め、一部の人が信じていたいくつかのことが、たった1回の週末で終わりを迎えた。ギリシャの債権者はアレクシス・チプラス首相を屈辱的な敗北に追い込むことで、ギリシャにレジームチェンジ(体制転換)をもたらしたり、ギリシャとユーロ圏との関係を危険にさらしたりするよりも、ずっと多くのことをした。 我々が知っている形のユーロ圏を破壊し、民主的な政治同盟に向けた一歩としての通貨同盟という概念を打ち壊したのだ。 そうすることで、債権者たちは19世紀から20世紀初頭にかけての国家主義的な欧州勢力争いに逆戻りした。 ユーロ圏はこれで、単一通貨を共有し、ドイツの利益のために運営され、既存秩序に盾突く者は絶対的な困窮に見舞われるという脅しによって結束が保たれる有害な固定為替相場制に成り下がってしまった。 先週末の会合について言える精一杯の褒め言葉は、このレジームチェンジを促した
この頃はまだ、余裕があった? 7月7日、ベルギー・ブリュッセルの欧州連合本部で4首脳会合を行うギリシャのアレクシス・チプラス首相(左)、アンゲラ・メルケル首相(左から2人目)、ジャンクロード・ユンケル欧州委員長(右から2人目)、フランスのフランソワ・オランド大統領(右)〔AFPBB News〕 7月13日月曜日の朝、欧州が目を覚ますと、メディアにはギリシャの屈辱、絶大な力を誇るドイツの勝利、欧州の民主主義の壊滅といった見出しが数多く躍っていた。 何とナンセンスな話だろう。もし降伏した国があるとするなら、それはほかならぬドイツだ。 ドイツ政府は、これで3度目となる数十億ユーロのギリシャ救済策に原則的に同意した。 その見返りに受け取ったのは、経済改革を実行するというギリシャ政府の約束だが、そのギリシャ政府は合意したばかりの事項のいずれについても全く同意できないとの見解を明らかにしている。 急進
ある出席者の言葉を借りると、記録的なマラソン会議となったユーロ圏首脳会議では、ギリシャのチプラス首相は「磔(はりつけ)」のような責め苦に遭ったという(写真© European Union) ギリシャのアレクシス・チプラス首相とドイツのアンゲラ・メルケル首相は過酷な話し合いを14時間続けた末に、行き詰まったと考えた。 もう妥協の余地はなく、交渉を続ける理由も見当たらなかった。グレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)だけが唯一の現実的な選択肢だった。 2人が部屋のドアに向かって歩き始めた時、動いたのはドナルド・トゥスク欧州理事会議長だった。ユーロ圏の歴史に残る分裂の引き金が、疲労と苛立ちによって引かれるのを阻止しようとしたのだ。 「悪いが、この部屋から出すわけにはいかないんだ」。ポーランドの前首相はこう言った。 最後までもめたギリシャ民営化基金 もめていたのは、差し押さえたギリシャの国有資産を裏
7月12日、ブリュッセルでユーロ圏首脳会議の開始前に言葉を交わす(左から)ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのフランソワ・オランド大統領(後ろ向きの人物)、ギリシャのアレクシス・チプラス首相〔AFPBB News〕 ギリシャ危機では、ユーロ圏に深刻な政治的断絶があることが露わになった。ドイツとフランスにとっては、争点となっていたのは、通貨同盟の将来の形だ。フランスの社会主義者の大統領、フランソワ・オランド氏は、強い者が弱い者を支援する協同的な同盟、財政の規律と同じくらい投資や経済成長にも目を向ける同盟を想定している。 これに対しドイツ首相のアンゲラ・メルケル氏は、ユーロ圏のルールを厳しくすることを望んでいる。 基準に達しない国にもっと早く制裁を科すことができるようにすることでギリシャ危機の再来を避けよう、というわけだ。 一方、スペイン、ポルトガル、アイルランドなど、自ら過酷な救済プロ
2001年にアルゼンチンが経済崩壊に向かっている時に同国経済相を務めていたドミンゴ・カバロ氏は7月初め、地中海周遊クルーズの途中でギリシャに立ち寄った際、クレジットカードが使えなくて戸惑った。 「こんな状況では彼らは何日も持たない」 当時としては史上最大のソブリン債デフォルト(債務不履行)となった事態の直前に、銀行取り付け騒ぎを阻止するために銀行口座を凍結した「コラリート(預金封鎖)」の責任者として多くのアルゼンチン人に強い嫌悪感をもって記憶されているカバロ氏はこう話す。 ギリシャの債務危機が進む中、アルゼンチン人は既視感を覚えながら事態を見守っている。多くの人は歴史が繰り返すのではないかと不安を感じている。ただし、ギリシャの悪影響の方が、アルゼンチンよりひどいのではないかという。 カバロ氏は、ギリシャのユーロ圏離脱は、ギリシャの債権団が要求した財政緊縮措置の影響よりはるかに深刻な「恐ろし
(英エコノミスト誌 2015年7月11号) ギリシャと債権者との間で合意が成立するのが一番いい。だが、グレグジットが避けられないのであれば、以下がその方法だ。 7月12日にブリュッセルで開催されるEUサミットはギリシャにとって重大な決断を下すことになっている(写真はギリシャの首都アテネで、夜間にライトアップされたアクロポリス)〔AFPBB News〕 守られなかった期限がいくつもちりばめられた危機の中で、7月12日日曜日は本当にギリシャの債務ドラマの大詰めになるかもしれない。ユーロ圏の指導者たちは、欧州連合(EU)加盟全28カ国の指導者とともに、一連の会議のためにベルギー・ブリュッセルに集まる。 ギリシャのアレクシス・チプラス首相がその日、債権者と合意を成立させることができれば、この国は破綻せずにユーロ圏内にとどまれるだろう。 そのような合意がなければ、ギリシャは容赦なく「グレグジット(ギ
さて、ユーロ圏はこれからどうすべきなのか。筆者は先週、ギリシャ国民は緊縮を受け入れる「イエス」に投票すべきだと結論付けた。彼らは逆に、撤回された救済案の条件を圧倒的多数で拒否した。これは何を意味するのだろうか。そして、ユーロ圏はどう反応すべきなのか。 見たところ、投票した人の多く――あるいは大半――が、ギリシャが拒否したら他のユーロ圏諸国は翻意せざるを得ないと考えているようだ。 パートナー諸国は自分たちの残酷なやり方の過ちを認識し、ギリシャを緊縮から解放する一方、ギリシャがユーロを自由に使うために必要な財源を与えてくれる、というわけだ。 しかし、パートナー諸国の大半は、この結果を屈辱的な降伏と見なすだろう。つまり、それよりずっと可能性が高いのは、勇気を得たギリシャ政府と激怒した債権者との対立だということだ。 ギリシャと債権者の対立がもたらす「ステルス・エグジット」 そのような対立は、「ステ
7月7日、ブリュッセルの欧州連合本部で4首脳会合を行うギリシャのアレクシス・チプラス首相(左)、アンゲラ・メルケル首相(左から2人目)、ジャン・クロード・ユンケル欧州委員長(右から2人目)、フランスのフランソワ・オランド大統領(右)〔AFPBB News〕 欧州首脳が日曜日(7月12日)にギリシャの運命を決めるために欧州連合(EU)28カ国の緊急サミットを招集し、ギリシャは救済の債権者との合意をまとめるのに5日間の時間を与えられた。この間に合意がまとまらなければ、ギリシャは国家破綻と銀行セクターの崩壊に直面することになる。 EU首脳はギリシャの極左政権とユーロ圏首脳の6カ月に及ぶ膠着状態が始まって以来最も強い言葉を使い、先週末のギリシャ国民投票のノーの結果は、債権者側がギリシャに支援を提供する能力を著しく制約したと述べた。 さらに、新しい救済措置はいかなるものであれ、ほんの2週間前にまとめ
7月5日夜、アテネの国会議事堂前のシンタグマ広場で、国民投票の出口調査で反対票が60%を超えたとのニュースを聞いて喜ぶ反緊縮派の人々〔AFPBB News〕 ギリシャの「ノー」の投票結果はアテネのシンタグマ広場で歓喜をもって迎えられた。噴水は赤くライトアップされ、旗が振られ、群衆は愛国的な歌を歌った。ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、これは国家の威信に関する投票だと述べ、そのメッセージは国民の胸に響いた。 フリージャーナリストのある若い女性は筆者にこう打ち明けた。 「私は実はイエスに投票しました。でも、心のどこかでギリシャがノーと言ったことを喜んでいます。ギリシャは小さい国だけれど、大きな歴史がある。これは私たちの尊厳の問題なんです」 だが、結果を祝う様子を見ていて、筆者は悪い予感を覚えずにはいられなかった。債権者との新たな合意がすぐにまとまらなければ、ギリシャの銀行は数日内に破綻し、
オバマ政権も国際通貨基金(IMF)――米国の世界的な財力の手段――も、欧州の債権者を相手にギリシャを擁護する用意があった。 だが、SYRIZA政権のふざけた態度は、ギリシャの友人をにっちもさっちもいかない立場に立たせた。 米国は長らく欧州に対し、構造改革と引き換えにギリシャの債務の一部を減免するよう要請してきた。だが、努力は無駄だった。欧州については、米国は強くもなければ間違ってもおらず、弱くて正しかったのだ。 ギリシャの運命に対して米国が持つ利害 米国はもっと大きな影響力を駆使することができるだろうか。その答えはイエスであるべきだ。米国はグレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)を阻止することに2つの重大な利害を持つ。 1つ目は経済的な利害だ。ギリシャ経済の規模はオレゴン州程度しかなく、人口はオハイオ州と同じだが、全面的なデフォルト(債務不履行)は米国の主要貿易相手国の成長を弱める。グレグジ
だが、新たな救済合意は数日内にまとまるというギリシャ閣僚らの予想にもかかわらず、マクロン氏と他のフランス閣僚を別にすると、ユーロ圏では圧倒的な「ノー」が継続的な膠着状態以上のものにつながると予想する人はほとんどいない。 もしそれが債権団の条件を大差で拒否したことがもたらす結果なのだとすれば、それはギリシャがユーロ圏離脱に向かうゆっくりとした行進を意味する。 ギリシャは遺書に署名したのか? 「ギリシャは自殺の遺書に名前を書いたところだ」。リスクコンサルティング会社ユーラシア・グループで欧州分析部門のトップを務めるムジタバ・ラーマン氏はこう言う。「フランスだけが今回の国民投票から何かを救い出そうとするだろうが、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)での議論に勝つことはできないだろう」 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は次に取るべき対応策についてフランソワ・オランド大統領と協議するために、月曜日にフ
(英エコノミスト誌 2015年7月4日号) 今回のギリシャ危機は、どのような結果になろうとも、EUを永遠に変えることになるだろう。 シャッターが下ろされた銀行、資本規制、先進国による初の国際通貨基金(IMF)に対するデフォルト(債務不履行)、数十億ユーロ規模の救済プログラムの破綻、ギリシャのユーロ離脱を加速させかねない国民投票の計画、そして貧窮する国民――。 利害がこれほど大きくなければ、これまでの緊急サミットや土壇場の要求は、茶番劇と見なされたことだろう。 ギリシャだけの悲劇では済まない だが、これは茶番劇ではなく悲劇だ。双方が望まないと口にする結果――ギリシャのユーロ離脱――の可能性がますます高まっているように見える。 このカオスは、ギリシャにとってユーロ離脱が破滅的であることを裏づけている。ユーロを離脱したギリシャが破滅する大きな理由は、デフォルトと通貨切り下げにより得られる多少の利
ギリシャ政府は国庫に資金を補充し、国内銀行の営業を再開させるために素早い救済合意を得ることを目指し、新たな経済提案を携えてブリュッセルに駆けつけた。 だが、6月30日に総額1720億ユーロの救済パッケージが失効した後、素早い解決への望みは恐らく無駄になるだろう。 「我々はもう、プログラムが失効する前に交渉しているという手続きの段階にない」。欧州委員会のヴァルディス・ドムブロフスキス副委員長(ユーロ圏問題担当)はこう語った。 代わりにギリシャは、異なるルールによって規定され、義務を果たすまでの時間が長い期限2年間、総額291億ユーロの救済措置を求めている。 ■ギリシャが新たな救済を獲得するためには、何が起きなければならないのか? 既存の救済プログラムからの新たな分割融資の実行を承認するのは比較的容易だ。それにはユーロ圏諸国の政府による署名があればいい。だが、新たな救済には2つの決定が求められ
もし筆者がギリシャ人だったら、ユーロ圏の経済プログラムに関する日曜日の国民投票でどちらに投票するだろうか。その答えは、残念ながら、よく分からない。 ギリシャは独り立ちしてうまくやっていけると思えば、きっとプログラムに反対票を投じるだろう。 しかし、そのような確信は持てないかもしれない。ギリシャが通貨主権を賢明に行使できるのであれば、恐らく現在のような状況には陥っていないからだ。 逆に、もしプログラムに賛成票を投じるとしたら、そのプログラムがまだ交渉のテーブルに載っているかどうか分からないまま投じることになる。ユーロ圏はもう載っていないと言っているが、これははったりかもしれない。 分かっているのは、もし投票で「イエス」の方が多くなったら、ギリシャは数年に及ぶ支出削減と不況の時代に直面するかもしれないということだ。だが、それでもユーロ圏離脱後のカオスよりはましかもしれない。 また、もし筆者がギ
シャッターを下ろしたギリシャの銀行は、欧州連合(EU)にとって深刻な失敗を表している。足元の危機は現代ギリシャ国家の欠点を反映しているだけでなく、統一、平和、繁栄という欧州の夢が破れたことも示しているのだ。 ここ30年あまり、欧州は「歴史の終わり」という世界観の欧州版を信奉してきた。それは欧州連合という名で知られるようになった。 欧州諸国は戦争、ファシズム、占領といった悲劇を過去の出来事として片付けることができるし、EUに加盟することで民主主義、法の支配、そして国家主義の否定という3点を土台とするもっと明るい未来を一緒に手にすることができる、という思想だった。 EU欧州委員会のメンバーだったクリストファー・パッテン氏がかつて誇らしげに語ったように、EUの成功によって欧州の人々は「互いに殺し合うのではなく、漁獲割り当てや予算について口論すること」に時間を使えるようになった。 欧州の新しいモデ
予想していたショックが実際に起きた時、それはやはりショックのように感じられる。ギリシャのアレクシス・チプラス首相が交渉の席を立ったのは正しい。だが、国際通貨基金(IMF)と欧州中央銀行(ECB)への債務の返済が可能になる提案を蹴ったことは、それでも非常に重要な決断だった。 筆者が理解に苦しむのは、支援受け入れの是非を問う国民投票を日曜日(7月5日)に行うと突然決めたのはなぜなのか、ということだ。 この背後には、筆者の理解力を超えた非常に高度な戦略が隠れているのかもしれない。 この国民投票の最大の問題は、ギリシャ国民に賛否を問うはずの提案がもう交渉のテーブルに載っていないことだ。また、それに関連する現在の支援プログラムも6月30日深夜に失効する。債権者自身がもう支持していない支援パッケージにギリシャ国民がイエスと言うべき理由があるのだろうか。 最大のミスを犯したのはユーロ圏財務相会合 だが、
6月27日土曜の夜。ギリシャのヤニス・バルファキス財務相抜きで行われた会議を終えて姿を現したユーロ圏諸国の財務相たちは、ギリシャは欧州連合(EU)の共通通貨導入圏にとどまっていると全員に念を押した。 「ギリシャがユーロ圏の一員であることは明らかだ」。ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相はこう言った。そして「さらに、ギリシャは欧州の一員でもある」と付け加えた。 欧州中央銀行(ECB)は6月28日、ギリシャの銀行を生きながらえさせている緊急融資を打ち切ることはせず、その上限を890億ユーロに定めた。この措置は、ギリシャの銀行がもう預金の引き出しに応じられないことを意味している。しかし重要なことに、ギリシャの銀行がつぶれないことも意味している。 銀行は休業すると発表された。しかし、もしギリシャ政府が現在の窮状を脱する方法を見つけることができれば、銀行はユーロ建ての預金の引き出しに応じられる状
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く