今週は「9.11」から10年という節目を迎えただけではない。リーマン・ブラザーズが破綻した「9.15」から丸3年を記念する週でもある。だが、国際政治の議論がもはや「対テロ戦争」一色ではなくなる一方で、テロとは異なる恐怖が世界の金融市場に忍び寄っている。 金融界の有力者(かつて世界の覇者と呼ばれた人々)の間に広がるムードは今、金融危機が勃発して以来、最も恐怖に満ちている。 ジョージ・ソロス氏は先週、欧州の債務問題は「リーマン・ブラザーズよりはるかに深刻なものになる可能性がある」と警告した。一流バンカーらは数カ月前から、内々に同じようなことを口にしていた。 欧州の政治家も励みを与えてくれない。先週は、ユーロ問題の解決を担うある高官が「新たな大恐慌とナショナリズムの復活」に思いを馳せる発言が聞かれた。 ヒステリーのような悲観論の広がり こうした悲観論がとりわけ心配になるのは、国際経済に対する懸念