(2014年1月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 劇作家ウィリアム・ギルバートと作曲家アーサー・サリバンのコンビは喜歌劇「ペンザンスの海賊たち」の早口歌の中で、教養ある「現代の少将」なるものを皮肉ってみせた。現代なら、学者出身の中央銀行家を皮肉ってみせるかもしれない。学者出身の中央銀行家と言えば、間もなく退任するベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長はその鑑(かがみ)である。 著名な学者であるバーナンキ氏は、FRBに素晴らしい知性と博識を提供した。同氏の経済史の知識は、恐ろしいパニックに歯止めをかけることに役立った。しかし、過ちを犯さなかったわけではなかった。バーナンキ氏は恐らく、歴史からは寛大な評価を受けるだろう。だが、同氏がFRBで過ごした時期から学べることは多い。 FRBで誇った絶大な影響力 バーナンキ氏は、2006年にFRB議長に就任する前から絶大な影響力を持つ存在