明らかに、時間がなく、心にもゆとりのない世代……それが30代だろう。年齢なりの知識や経験を得たがゆえに、人もモノも情報も、うのみにしない一方で、就職活動で苦労した経験を踏まえ「またバブルが弾けるようなことがあって割を喰らうのではないか」などの思いもあり、疑い深い面があるのが特徴といえる。それだけにこの世代に向けて情報を発信することは容易ではない。 このため、多くの出版社の人間が「30代向け総合誌は難しい」と答えるのではないだろうか。その難しい市場にあえて挑戦しているのが講談社の「KING」だ。創刊1年目を迎えてリニューアルを敢行している。 リニューアルについて編集長の原田隆氏は、まず読者ターゲットを明確にしたという。創刊当初のターゲットは20代後半から30代男性で、これが結果的に誰に向けて作られているのか、また、カルチャーなのかビジネスなのか、つまり「オンかオフかが絞りきれていない雑誌」(