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  • 『キング・オブ・エジプト』の見たこともない世界

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 なんてもったいない! 極めて特徴的な原題があるのに、『キング・オブ・エジプト』という平凡な邦題になってしまったのは残念だ。 しかも作の惹句は、次のようなものだ。 <神の眼>を盗んで エジプトの王座を奪え! これではまるで、<神の眼>を盗んでエジプトの王座を奪う話みたいではないか! 公式サイトのストーリー紹介には、「鍵を握るのは、奪われた恋人を救うため立ち上がった盗賊の青年ベック」と書かれている。これではまるで、奪われた恋人を救うため立ち上がった盗賊の青年ベックの物語みたいではないか! そういうアドベンチャー映画にニーズがないとは云わないが、そういう売り方に刺激される人もいるかもしれないが、でもまったく異なる魅力に溢れた映画を、あり

    『キング・オブ・エジプト』の見たこともない世界
    palehorse82
    palehorse82 2018/08/29
    「私は本作を観て、1960年代のSF冒険小説の傑作、フィリップ・ホセ・ファーマーの階層宇宙シリーズを思い出していた。」
  • 『スパイダーマン:ホームカミング』 過去のシリーズとは大違い!

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 2002年に公開されたサム・ライミ監督の『スパイダーマン』は傑作だった。その傑出したシリーズを中止してリブートするなんて、大それたことに違いなかった。 ところが2012年に公開された『アメイジング・スパイダーマン』は、まさにアメイジングな作品だった!その続編『アメイジング・スパイダーマン2』も、涙なくしては観られない傑作だった。 それが再びリブートされた。 前作からたった三年しか経っていないのに、また新しいスパイダーマン映画が公開される。さすがにもう楽しめないだろうと思ったが、とんでもなかった。2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』は、スパイダーマンというキャラクターの奥深さを改めて感じさせるものだった。

    『スパイダーマン:ホームカミング』 過去のシリーズとは大違い!
    palehorse82
    palehorse82 2018/05/02
    「題名に付けられた homecoming には三つの意味が込められているのだろう。」
  • 『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を応援します

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 どこから褒めればいいだろう。 『KUBO/クボ 二の弦の秘密』は、そう悩んでしまうほど素晴らしい。 ■驚異の映像 まず目をみはるのが映像の美しさと迫力だ。制作会社ライカの過去の作品、『コララインとボタンの魔女 3D』や『パラノーマン ブライス・ホローの謎』も素晴らしかったが、『KUBO/クボ 二の弦の秘密』はそれらさえ凌駕する。 その魅力の源が、ストップモーション・アニメーションにあることは間違いない。 2010年代は3DCGのアニメーション映画が盛んだった。3DCGの映像は年々緻密になり、リアリティを増していた。しかし、作の質感や奥行の広がりを前にしては、まだまだストップモーション・アニメーションの映像に軍

    『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を応援します
  • 『レディ・プレイヤー1』 こいつはご機嫌だ!

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 夢のようだ。ガンダムを、メカゴジラを、アイアン・ジャイアントを、スティーヴン・スピルバーグが映画にしたのだ。ガンダムの実写映画化が、よもやこんな形で実現しようとは思わなかった。 とりわけ、『スター・ウォーズ』の大ブームとライトサーベル(ライトセーバー)の人気を受けて、ビームサーベルを携えた機動戦士ガンダムが登場した歴史を見てきた身としては、そのガンダムがジョージ・ルーカスの盟友スピルバーグの手によって実写映画になったのは感慨深い。ライトサーベルに対する日特撮界の回答ともいえるレーザーブレードで戦う宇宙刑事ギャバン、そのデザインを引用したロボコップも作には見ることができる。 『レディ・プレイヤー1』は、仮想現実の

    『レディ・プレイヤー1』 こいつはご機嫌だ!
    palehorse82
    palehorse82 2018/04/23
    「スピルバーグは、誰もが映画化を夢見るものを片っ端からスクリーンに登場させてしまった上に、スピルバーグの手にかかればそれは最高水準の、見事な映像化だから、他のクリエイターにはたいへんなこと」
  • 映画のブログ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 娯楽映画や娯楽小説は、私たちを心地好く現実逃避させてくれる。 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の痛快な面白さの根底にあるのも、虫がいい現実逃避である。 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の原作は日小説『All You Need Is Kill』。"kill"というネガティブな言葉を避けるため原題は『Edge of Tomorrow』に変えられたが、邦題は日での知名度を活かすためでもあろう、原作の題名をカタカナ表記にしている。 「このじつにユニークな"タイムループ"というコンセプトに僕は夢中になった」とダグ・リーマン監督は語る。 しかし、同じ時間を繰り返す「ループもの」と呼ばれる作品は数多い。たとえば、楽しい時間をいつまで

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  • 映画のブログ

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 映画という弾丸をブッ放し、激しい戦いが行われている。 奇しくも日で同日公開となった『フライト』と『ジャンゴ 繋がれざる者』は、米国でもそれぞれ2012年11月2日と同年12月25日に公開されており、ほとんど間髪をいれない応酬となっている。 その対立は今に始まるものではないだろうが、バラク・オバマが大統領に就任してからの米国世論を考え合わせると、どうにもきな臭く感じられる。 米国建国以前の入植者といえば、メイフラワー号で海を渡ったピルグリム・ファーザーズが有名だ。欧州でのカトリックとプロテスタントの対立を逃れたピューリタンの一団は、ここに理想のキリスト教社会を作ろうとした。 やがて独立国家となったアメリカ合衆国がキリスト教の理想社会

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    palehorse82 2017/12/05
    「『ジャンゴ 繋がれざる者』が描くのは、武装した黒人が白人を惨殺する世界――現実に白人を銃保持に走らせている恐怖そのもの」
  • 『ブレードランナー 2049』 流れよ我が涙、と警官は言った

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 『ブレードランナー 2049』は2017年に発表されるべき作品だった。前作『ブレードランナー』のテーマと作品世界を受け継ぎながら、作は来るべき未来を見据えている。 「実はSFって、現実から離れて人間の感情の描写に集中できるという意味で、とても優れた表現形式なんだ。」 作の主人公を演じたライアン・ゴズリングはこう語る。[*1] ■「人間とは何か」とは何か 前作に主演し、作にも出演したハリソン・フォードは、『ブレードランナー』が「人間とは何かという問いに答えようとしている。だから文化の違いを超えて世界で成功した」と述べている。 人間とは何か――確かに『ブレードランナー』はその問いを取り上げていよう。だが、考えてお

    『ブレードランナー 2049』 流れよ我が涙、と警官は言った
  • 『哭声/コクソン』 謎解きの先に

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 恐ろしい映画である。 『哭声/コクソン』を紹介するのは難しい。 村人が次々に不審な死を遂げる作はミステリーなのか。 悪霊の仕業が疑われる異常現象が連続するのはオカルト映画なのか。 怪人物が出没し、付け狙われるのはホラー映画か。 思いもかけない展開に観客は振り回され、気持ちを乱され、混乱する。 ナ・ホンジン監督は無情だ。観客にカタルシスを味わわせようなんて、これっぽっちも考えていない。 原題は『谷城(哭声)』。映画の舞台となる韓国の南西地方の谷城(コクソン)と、泣き叫ぶ声を意味する哭声(コクソン)を掛けている。 『アシュラ』で強圧的な検事を演じていたクァク・ドウォンが、作では一転して臆病者で直情的な警察官ジョング

    『哭声/コクソン』 謎解きの先に
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    palehorse82 2017/09/27
    「すべてを観客の判断に委ねて、映画は幕を閉じる……――  ――という話では全然ない。」
  • 『新感染 ファイナル・エクスプレス』 生き残るのは誰だ?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 いやもう、面白いったらない。 『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、パンデミックの恐怖とノンストップアクションが組み合わさった、見事としかいいようのない娯楽作だ。 あえてジャンル分けをするならば、作はゾンビ映画になるのだが、あまりにも面白い要素がいっぱいで、もはやジャンルなんてどうでもいいほどだ。 疾走する高速列車を舞台にした作は、暴走列車を描いた『アンストッパブル』のように手に汗握るし、移動中の主人公たちを誰も彼もが襲ってくる『藁の楯 わらのたて』のように油断がならないし、列車の中を後方車両から前方車両へ進撃する『スノーピアサー』を凌ぐ駆け引きに舌を巻く。 抜群に面白いアクション映画である上に、絶体絶命の状

    『新感染 ファイナル・エクスプレス』 生き残るのは誰だ?
    palehorse82
    palehorse82 2017/09/20
    「かつて同じような物語があった。富野喜幸(現・富野由悠季)監督の傑作アニメ『伝説巨神イデオン』(1980年~)だ。」
  • 『ダンケルク』

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 これは映画か。 あまりに激しい緊張を強いられた私は、気持ちが悪くなるほどだった。いや、気持ちが悪くなった。 そのとき、確かに私は戦場にいた。絶望的な浜辺にいた。水没する船倉にいた。墜落する飛行機にいた。銃弾が降り注ぐ中にいた。死体が転がるあいだを歩いた。 そして、わずかに美しいものを見た。海の冷たさにもかかわらず、暖かいものがながれていた。勇気が閃いていた。暗く、荒れ果てた世界に、わずかだけれど確かにあった。 これが映画か。 『ダンケルク』  [た行] 監督/クリストファー・ノーラン 出演/フィオン・ホワイトヘッド トム・ハーディ マーク・ライランス キリアン・マーフィ ケネス・ブラナー トム・グリン=カーニー ジャック・ロウデン 

    『ダンケルク』
  • 『ワンダーウーマン』の二段構えのラスト

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 何と、こんなアレンジで来たか! 映画『ワンダーウーマン』についてほとんど白紙の状態で観に行った私は、意表を突いた設定に驚いた。 この映画については白紙でも、ワンダーウーマンを映画デビューさせるためにスーパーマンとバットマンが前座を務めたような『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で彼女の勇姿は目にしていたし、リンダ・カーター主演の1970年代のテレビドラマも見ていたから、基設定は知っている。だから、アマゾネスの島からやってきた鉄腕美女ワンダーウーマンが、ドイツ軍をバッタバッタとなぎ倒す、そんな映画だろうとタカをくくっていた。 ところが、アマゾネスの島のワンダーウーマンがドイツ軍をバッタバッタとなぎ

    『ワンダーウーマン』の二段構えのラスト
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    palehorse82 2017/09/06
    「ショックで茫然とするダイアナに、スティーブが語るシーンが、本作のクライマックス」
  • 『怪盗グルーのミニオン大脱走』 楽しく暮らそう

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 前二作、いや番外編の『ミニオンズ』も入れれば過去三作を通して、このシリーズには一貫したものがあった。それが、こうも大きく変えられるとは思わなかった。 過去の怪盗グルーシリーズに共通していたのは、1960年代の文化への愛とこだわりだ。第一作『怪盗グルーの月泥棒 3D』は、ハゲの怪盗が登場する時点でアンドレ・ユヌベル監督の60年代の快作、怪盗ファントマシリーズを彷彿とさせた。第二作『怪盗グルーのミニオン危機一発』は、60年代にはじまった007シリーズのようなスパイ・アクションだったし、『ミニオンズ』に至っては時代設定を1968年にして、当時の楽曲やテレビ番組の引用をどっさり盛り込んだ賑やかな映画だった。 ところが、シリ

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  • 『ハクソー・リッジ』のウソとマコト

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 デズモンド・ドス上等兵が、日軍との戦争のさなかに日兵を助けたのは当なのだろうか? 戦争映画は幾つも観たが、戦闘シーンで涙が止まらない映画ははじめてだった。 『ハクソー・リッジ』は、米国バージニア州の職人デズモンド・ドスが、モーセの十戒の一つ「汝、殺すなかれ」を胸に刻みながら戦争に臨む話だ。 1919年に生まれ、2006年に87歳で没したドスの名は、米国中の道路や学校や医療施設に付けられている。米国では知らぬ者のない偉人なのだろう。 米国だけではない。激戦地であった前田高地(米軍はここをHacksaw Ridge(ノコギリのような断崖)と呼んだ)を擁する浦添の『浦添市史』にも、ドスの活躍は記されている。 ---

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  • 『メッセージ』 映画が避けてきたもの

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 『メッセージ』には脱帽だ。前回の記事で、私はSF映画の物足りなさを吐露したばかりだ。ところがこの映画は、まさに私が望んでいたものを見せてくれた。 前回の記事「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』 フォックスと取引した理由」で、私は次のように述べた。 ・地球人の役者が変わった衣裳やメイクで演じるだけの異星人が多いけれど、異星人には地球人とはかけ離れた奇妙キテレツな姿であって欲しい。 ・地球人とは考え方も行動もかけ離れた異質な存在であって欲しい。 そんな私の思いに応えるかように、『メッセージ』は極めて異質な宇宙人を登場させた。SF好きのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしい的確さだ。 実のところ、ドゥニ・ヴィルヌ

    『メッセージ』 映画が避けてきたもの
  • 『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』 封印解いてベッカンコの巻

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』を観ようと思ったのは、籠谷千穂氏のツイートが目に留まったからだ。 日「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」を鑑賞。まさか「狂気山脈では?」と前々から思っていたら当に狂気山脈だったのでラヴクラフティアンは是非観に行って下さい。もう今年はドラえもん映画じゃなくてドラクラフト映画、もしくはラヴえもん映画。 #ドラえもん #狂気山脈 pic.twitter.com/XHKxsDxPb7 — Chiho komoriya (@Chihokomoriya) 2017年3月22日 『ドラえもん』がラヴクラフト!? どういうことか確かめようと足を運んだ私は、作のあまりの面

    『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』 封印解いてベッカンコの巻
  • 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』 それは新しい考えか?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 善と悪、正と邪、古より戦い続ける二つの勢力。その争いを背景に共和制を掲げる側と帝政を進める側が銀河系を二分して戦う時代。帝国側が開発した新技術により戦況は一変、帝国の勝利が濃厚になった。 帝国の新技術の秘密を手に入れるため、志願した者たちの一隊が帝国側に乗り込んでいく。生きては戻れないかもしれない危険な任務だ。 激しい戦闘を切り抜けて、遂に共和制側は新技術の秘密を手に入れる。だが、通信が遮られ、絶体絶命の大ピンチ。 ――ひと波乱の後、新技術の情報を奪還すべく帝国の戦艦が迫る。それを尻目に、救命艇で脱出した「二人」は辺境の星に到達する。見知らぬ星に降り立った「二人」は、その星の生物に襲われて捕らわれてしまうが、幸いに

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  • 『ズートピア』 ユートピアかディストピアか?

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 残念に思ったのが、このイラストだ。 都内の各家庭に配られた「広報けいしちょう」第74号(2016年3月6日発行)の表面に掲載されたものだ。 警視庁がテロ対策を講じるのはとうぜんだから、「情報提供・110番通報のお願い」という記事に異論はない。だが、添えられたイラストが気になった。 イラストには、防犯カメラの位置を確認するいかにも怪しい目つきをした男や、大量の薬ビンを捨てる目つきがおかしい派手な髪型の男が描かれている。その横には男を目撃した可憐な女性や、110番に通報する女性がいる。絵は文章よりも強い印象を残すものだ。この絵は見た者に次のイメージを刷り込みかねない。 ・悪事を働くのは男性である。 ・女性は悪くない。

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  • 『この世界の片隅に』ウチを見つけてくれてありがとう

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 映画がはじまる。能年玲奈さんの声が聞こえる。 その瞬間、『この世界の片隅に』の素晴らしさに驚いていた。 ゆっくりとした、温もりのあるモノローグは、『まんが日昔ばなし』の語りのようだった。 これは凄いことだ。まだはじまって数秒しか経たないのに、私は圧倒されていた。『まんが日昔ばなし』の語りといえば市原悦子さんである。20年近くのあいだ、語りに加えてありとあらゆる登場人物を演じ分けた名優だ。芹川有吾監督が『サイボーグ009 怪獣戦争』のヒロイン、二面性を持つヘレナを演じられる人物として起用し、高畑勲監督も『太陽の王子 ホルスの大冒険』の不安定な心を抱えるヒロイン・ヒルダに起用した、難しい役をお願いするならこの人しかいないという大女優

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  • 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 映画という耐久試験

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 キャプテン・アメリカは難しいキャラクターだ。 星条旗を模したコスチューム、「アメリカ大尉」という名前、第二次世界大戦に臨む米国民の戦意を高揚させるために創造された制作意図。米国の愛国心を象徴したキャプテン・アメリカは、世界市場を相手にする現代のハリウッドでは扱いにくいに違いない。 そんな杞憂を吹き飛ばしたのが、前作『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』だった。映画の制作陣は、あえて茶化した作りにすることで、星条旗みたいな恰好をした愛国男の冒険譚を見事に成立させた。 そこからさらに深化して、テーマも娯楽性もグレードアップしたのが『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』だ。 前作のアクションシー

    『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 映画という耐久試験
  • 『シン・ゴジラ』 ゴジラの正体

    映画・洋画を問わず、ネタバレ・あらすじを交えて感想(レビュー、 批評、 解説…?)を語りながら、映画の魅力を再発見していきましょう。ラストを明かすことも。 【ネタバレ注意】 前々回、前回とガメラについて述べてきたのは、ゴジラを語るためでもあった。東宝のゴジラ映画第29作となる『シン・ゴジラ』が、おそらくゴジラ映画史を覆す傑作だろうと思われたからだ。ガメラシリーズの変遷を振り返ることで、ゴジラシリーズの特徴も浮き彫りになり、その結果『シン・ゴジラ』の位置付けも明らかになると考えたのだ。 ■世にも奇妙なゴジラシリーズ 私もゴジラシリーズは大好きだ。『キングコング対ゴジラ』の日米頂上決戦に痺れ、『モスラ対ゴジラ』の不良ゴジラに魅了され、『怪獣大戦争』のストーリーテリングの巧みさに唸ったものだ。一般的な評価は高くないかもしれないが、『ゴジラ対メガロ』だってジェットジャガーのかっこよさと相まって

    『シン・ゴジラ』 ゴジラの正体