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  • 生命の定義について、宇宙生物学からヒト脳オルガノイドまで幅広く扱われた一冊──『「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち』 - 基本読書

    「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち 作者:カール・ジンマー白揚社Amazon「生きているものといないもの」を見分けるのは、直感的には簡単に思える。たとえば、人間や犬が生きていること、石のような無機物が生きていないことにそう異論は出ないだろう。しかし厳密に境界線を引こうとすると、ことは途端に難しくなる。 たとえば「自己複製するか」「自分で代謝活動を行うか否か」あたりの細胞性生物の特徴を「生命の定義」にしようとしても自己複製しかできないウイルスは生物とはいえないのかという話に繋がってしまう。しかも、ウイルスは近年の研究ではタンパク質の合成に関わる酵素を持つものもいることも判明している。 というわけで書『「生きている」とはどういうことか』は、生命の定義を様々な分野、ジャンルを通してみていこう、という一冊である。最初に例にあげたウイルスは生物なのか問題も取り上げられ

    生命の定義について、宇宙生物学からヒト脳オルガノイドまで幅広く扱われた一冊──『「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち』 - 基本読書
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    panda_q 2023/07/06
  • 魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』 - 基本読書

    魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書) 作者:幸田正典筑摩書房Amazonこの『魚にも自分がわかる』は、「魚の自己認識」、はてはその先の問いかけとして魚の知性について書かれた一冊である。魚は脳も小さいし、餌に飛びつくような能的な動きが目立つので、知的な印象を持っている人は多くないだろう。 だが、近年の動物認知研究の進展によって、そうした認識が誤りであることが明らかになってきた。たとえば、魚は鏡にうつった個体を正しく自分だと認識することができるし、そこに寄生虫がついているのが見えたら、砂底に身体をこすりつけてとろうともする、それどころか、こすりつけた後にもう一度鏡を見る動作までするのだという。鏡にうつった個体を自分だと認識できる鏡像自己認知の能力は、それまで猿や象など一部の知的とされる動物でしか確認されていなかったが、「魚の自己認識」について世界で唯一の研究室であると

    魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』 - 基本読書
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    panda_q 2021/12/14
  • 言語や音楽は、自然界を模倣している──『〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源』 - 基本読書

    〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF) 作者:マーク チャンギージー発売日: 2020/12/03メディア: Kindle版この『脳と文明の暗号』はマーク・チャンギージー『ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ』の続編というか、姉妹篇である。講談社で単行として刊行されていたものの早川書房での文庫化になるが、これは今読んでも鮮明でおもしろい。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 『ヒトの目、驚異の進化』は書名通りに、人間の目に焦点を当てた一冊だった。たとえば、ヒトの目は短、中、長の波長を把握し、膨大な数の色を見分けることができる3色型色覚を持っているのだが、哺乳類の多くは2色型である。なぜヒトは3色型を必要としたのか? また、目が前にしかついていないのはなぜなのか? 前と後ろについていれば、360度見渡せて便利なのに──といった疑問に答

    言語や音楽は、自然界を模倣している──『〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源』 - 基本読書
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    panda_q 2020/12/30
  • 当たり前のこととして人を喰う部族──『人喰い ロックフェラー失踪事件』 - 基本読書

    人喰い (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズIII-8) 作者: カール・ホフマン,奥野克巳,古屋美登里出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2019/03/21メディア: 単行この商品を含むブログを見るアメリカ合衆国代41代副大統領のネルソン・ロックフェラーの息子、マイケル・ロックフェラーはハーバード大学で民俗学を専攻した後、ニューギニアのほとんど現代人との接触のないまま生活をおくっていたアスマット族に興味を持ち、接触を繰り返すうちに行方不明になった人物である。行方不明は1961年のこと。そもそも名家の子であること、状況は細かい部分までわかっており、大量の金と人員を動員したにも関わらず死体すら見つからなかったことなど、その行方不明になった経緯があまりにも不可解であったこともあって、非常に話題を集めた事件であったようだ。 日でもその調査の記録はミルト・マックリン『首狩りと精霊の島 ロ

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    panda_q 2019/04/08
  • 間違いだらけの論文──『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』 - 基本読書

    生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場 作者: リチャード・ハリス,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/03/07メディア: 単行この商品を含むブログを見る毎年100万件以上の生物医学研究の論文が科学文献に発表されるが、その多くが間違っている──という、恐ろしい状況について書いたである。何がどう間違っているのか。仮に当に間違っているとして、なぜ研究者はその過ちを故意にしろ意図的にしろ起こしてしまうのか──? について、広範に渡って調査していく一冊になる。 論文の「間違い」の話は、僕は統計系の科学ノンフィクションを読む過程で「よくあることらしい」と知ってはいたが(『ダメな統計学』や『データは騙る』など)、生物医学系の研究に絞った多くの調査について読んだのは書が初めてだから、興味深く読んだ。たとえば、アメリカ細胞生物学会で会員に「発表された研究成結果をいずれかの時点

    間違いだらけの論文──『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』 - 基本読書
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    panda_q 2019/03/20
  • 頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書

    堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発売の『肺都』によって完結したが、これが当に凄い物語だった。奇しくも『肺都』が昨年最後に読了したとなったけれども、そんなことは無関係に問答無用で『肺都』が17年のベストだ。それどころか《アイアマンガー三部作》は、人生においてこれ程の熱量の物語にあと何度出会えるのだろうか……と考え込まずにはいられない、破壊的な小説作品なのだ。 人間を突き動かさずにはいられない特異なリズムがこの物語全体を貫いている。劇作家でもある著者による台詞、会話劇は一つ一つの発言が声の大きさ、息の吐く音まで聞こえてきそうな(凄まじい翻訳の力もあるの

    頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書
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    panda_q 2018/01/01
  • なぜ、地球に巨大人型ロボットが埋められていたのか?──『巨神計画』 - 基本読書

    巨神計画〈上〉 (創元SF文庫) 作者: シルヴァン・ヌーヴェル,加藤直之,渡邊利道,佐田千織出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/05/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る巨神計画〈下〉 (創元SF文庫) 作者: シルヴァン・ヌーヴェル,加藤直之,渡邊利道,佐田千織出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/05/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るある時、アメリカで全長約6.9メートルの巨大な手と、謎の記号が記されたパネルが発見される。16枚からなるパネルは、縱橫の長さは3メートル×9.8メートル。それらは、放射線炭素年代測定によると3000年前に作られた物だと考えられる。 そのうえ"手"はイリジウムという特別密度が高く、地球ではほとんど手に入らない(年間の採掘量はわずか4トンしかないレアメタル)珍しい金属で構成されている。

    なぜ、地球に巨大人型ロボットが埋められていたのか?──『巨神計画』 - 基本読書
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    panda_q 2017/05/21
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