秋葉原連続殺傷事件から一月余。八日付朝日新聞に社会学者、宮台真司が事件を振り返ってアッパレなコメントを寄せていた。宮台は言う。《メディアは単純な思考や情報を発信する。勝ち組と負け組の二分法もそうだ。「そんな誤ったメッセージを真に受けてしまうのは、なぜか」「一人でメディアに接触するときは情報に『直撃』されやすい」。身近に、お前はそんな話を真に受けているのかと言ってくれる人がいれば誤解は減る》 全く同感だ。 東京の渋谷や原宿で「援助交際」が話題になり始めた時、それを面白おかしく煽(あお)るかのように取り上げるメディアに毎回登場する社会学者がいた。その社会学者はきっと援交ギャルの一人と結婚でもするのだろうと思っていたのだが、彼が結婚したのは名門女子大卒の若く美しいお嬢様。しかも今時珍しい“箱入り娘”だった−とは、三浦展(あつし)の書くところだ。その社会学者は、名門の私立中高一貫校から東大に進学し