──京都議定書の第一約束期間(2008年〜2012年)に入ったばかりですが、すでに「ポスト京都」を見据えた将来枠組みについての議論が始まっています。 茅陽一所長(以下敬称略): とにかく最終的には地球温暖化を止めなければならない。つまり、気候変動枠組条約(UNFCCC)の第2条にあるように、大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度を安定化させることを究極目標として定めるべきだと思います。2007年6月に開かれたハイリゲンダムのG8サミット(主要国首脳会議)の声明でも、同様のことが述べられています。 GHG、特に二酸化炭素(CO2)の濃度を安定化させるには、人為的な排出量を現在の1桁くらい下に下げる必要があります。これは非常に大変なことで、100年の計で考えなければなりません。昨年、安倍晋三首相(当時)が打ち出した「クールアース50」は長期目標の中間であり、2050年は当然検討すべきマイルストー