「ぼくと同じ名前だよ」、その男は私に向けてたしかにそう言った。『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエIII)を指差した姿を今でも覚えている。3歳の誕生日だった1988年7月4日、私が初めて触れたゲームだ。『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は1988年2月10日発売なので、発売日から半年近く経っていたことになる。 当時の私はまだ読み書きができなかった。ゲームに接するのも初めてのことで、RPGという概念も知らなかったはず。ただ、お話がきちんとあって、プレイヤーが誰かを演じていることはなんとなく理解できた。 「勇者が悪いやつを倒しに行くんだよ。勇者は正義の味方なんだ」、と男は説明してくれた。父親のいなかった私は年上の男性が珍しかったのだろう。3歳の私がゲーム機の概念を理解していたかは怪しい。ハードとソフトの区別もおそらくついていなかった。ただ、目の前ですごいことが起こ