事務所近くのJRの駅には、夕方になると客待ちのタクシーの長い列ができる。どれくらい長いかというと、最後尾のタクシーが駅から信号2つ分離れた交差点のあたりにいて、その車列が駅を通り過ぎて信号1つ分先までつづき、そこでUターンしてタクシー乗り場に向かうのだ。 列に並ぶタクシーの台数を数えたことはないが、優に100台は超えるだろう。それに対してタクシーを利用するひとはごくわずかで、車列はなかなか進まない。 私はできるだけ歩くようにしていて、タクシーを使う機会はあまりないのだけれど、いちどこの車列を見てしまうとますます利用しづらくなる。駅から自宅までは最低運賃の距離で、何時間も並んだドライバーにとっては明らかに“外れ”の客だからだ。 自宅のそばの公園には、深夜になるとタクシーが集まってくる。アイドリングしたまま車を停めておける場所がなかなかないので、仮眠をとるドライバーたちにとっては数少ない憩いの