1976年、ロッキード事件が発覚し田中角栄元首相らが逮捕された。ロッキード社や丸紅、全日空を仲介し、賄賂受け渡しの「ハブ」になったのが右翼の大物、児玉誉士夫だ。「戦後最大のフィクサー」と呼ばれた児玉は、いったいどんな男だったのだろうか? 新刊『ロッキード疑獄』から、一部編集のうえで紹介する。 事件の背後にはCIAがいた… ロッキード事件は旅客機販売の商戦で起きた。ロッキード社はマクダネル・ダグラス社(MD)を抑えて全日空から受注を獲得し、勝利した。だが、ロッキード社から5億円のわいろを受け取り、「巨悪」とされた田中角栄がロッキード社を勝たせた最大の功労者というわけではなかった。 ロッキード社が危うくダグラス社に敗北しそうになった「最大の危機」で、ロッキード社のために大きく貢献したキーマンは、実は当時の通産相、中曽根康弘(後に首相)だった。ロッキード社元副会長カール・コーチャンが、回想録と嘱